94 宗延寺 【寺院】(堀ノ内3丁目52番19号)
報新山宗延寺は日蓮宗の寺院で、本尊は十界曼荼羅(じっかいまんだら)本尊と木造日蓮上人坐像です。当寺は天正初年頃、相模小田原(現・神奈川県)城下の郷士である報新宗延(ほうしんそうえん)が居宅を道場としたのが開創と伝えられています。
その後、天正19年(1591年)、開基でもある2世にちごん上人が宗風高揚のため本尊の祖師像を背負い、経巻を懐にして江戸に移り、下谷車坂(現・台東区東上野)に寺地を賜わって、寺の基礎を築きました。この後の寺運の発展は著しく、本山久遠寺直末(じきまつ)の江戸三大触頭(ふれがしら)(江戸日蓮宗の寺院を統括する役目を担う)の一つとなり、江戸中期には寺中に五坊の塔頭(たっちゅう)(子院)をおく大寺になったといわれます。
明治維新後、火災により本堂・客殿・庫裡(くり)などを焼失したため、直ちに再建されましたが、大正6年(1917年)に区画整理のため現在地へ移転してきました。
本尊の祖師像は通称「読経の祖師」と呼ばれ、江戸十祖師の一つに数えられて江戸市民に親しまれたものです。また、貞享元年(1684年)に若年寄の稲葉正休(しょうきゅう)が大老堀田正俊を刃傷した際に用いた刀(初代虎徹(こてつ))が寺宝として保存されています。
墓地には正休の墓石のほか、蘭学者の馬場轂里(こくり)や足立溪隣(けいりん)などの墓があります。
なお、客殿は大正天皇の御産殿を移築したものです。
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