131 薬罐坂 【坂】(上荻3丁目11番18号)

 

ページ番号1007905  更新日 令和6年5月20日 印刷 

この坂道は薬罐坂と呼ばれる坂で、大正5年(1916年)刊行の『豊多摩郡誌』に「大字(おおあざ)上荻窪字(あざ)本村(ほんむら)に俗称薬罐阪と呼べる傾斜路あり、昔雨の夜毎(よ ごと)に阪の中程に薬罐の転がり居れる奇怪事ありて、この名を得たるよし。雨の深夜など、今も時として薬罐出づるなど云ふものあり。」と記されています。
地元にはさまざまな言い伝えがあり、その一つは次のようなものです。

雨のある夜、八丁通りで一杯飲んで家に帰る途中、下り坂を歩いていると、真っ赤に焼けた大きな薬罐が道路の真ん中に転がっていた。酔って良い心地なので、邪魔な薬罐を蹴飛ばすと、真っ赤な薬罐は坂を転がり落ちていった。その後も何人もの人が焼けて真っ赤になった薬罐を見たということから、誰言うともなく「薬罐坂」の呼び名がついた。

他にも、野狐(のぎつね)を意味する野豻(やかん)から転じ、野狐が人にいたずらをする坂を「薬罐坂」と呼んだとも言われます。
薬罐坂のある井荻地域は、大正末期から昭和初期にかけて区画整理がおこなわれました。それ以前の薬罐坂は、今と違って交通も開けておらず、両側に樹木が茂って薄暗く、道幅の狭い急坂で、大八車などを引いて通るには大変な坂道でした。
地域に現在も残る地名には、昔の杉並を偲ばせるものがたくさんあります。薬罐坂の地名も大切に伝えてゆきたいものです。

 

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