「なみすけのすぎぱん」製造販売店さんにインタビューしてきました。(令和4年6月1日)
皆さん、こんにちは。杉並区が公認しているお土産「すぎぱん」はご存知でしょうか?今回は、とても可愛らしいデザインのお菓子「すぎぱん」を製造販売している、ポーロと焼き菓子専門店 Petit Gateau PouPon(プティガトープポン)代表の上村諒太さんにインタビューしましたので、ご報告します。
お菓子作りは小さい頃から
初めに上村さんが、お菓子職人になったきっかけを聞いてみました。
上村さんは小さい頃から「何かを作る」という事が好きだったそうです。既に幼稚園生の頃から、2人のお姉さんのバレンタインチョコ作りを手伝ったり、小学生になってからは、家族の誕生日ケーキを作っていて、家族中から「美味しいね」と褒めてもらう事が、とても嬉しかった思い出として、記憶に残っているそうです。
高校に上がってからは、調理師免許を目指して勉強に励みつつ、数多あるお菓子コンテストにも参加して、常連メンバーにもなっていました。ちょうどその頃、テレビで持て囃され始めた「パティシエ」という菓子職人に憧れ、高校卒業後にケーキ屋さんへ就職。日々のお菓子作りの修行に明け暮れていたようです。
すぎぱんを作る事になったきっかけ
その後、職場での厳しい指導環境も影響して鬱を発症し、已む無く離職された後、工事現場監督を3年間続けましたが、再び鬱病で退職。その頃に、ふと奥様から「焼き菓子を作ってみたら?」とのアドバイスがあったそうです。上村さん自身も、「本格的な菓子作りをやってみたい」という学生時代からの夢を叶えたい、という気持ちが募り、思い切って令和2年(2020年)10月に、焼き菓子専門店Petit Gateau PouPon(PouPonはフランス語で「小さな赤ちゃん」)を立ち上げました。お店のロゴマーク中央の赤ちゃんは、お店を立ち上げた当時に、奥様のお腹の中にいたお子様をイメージしているそうです。
お店を立ち上げて間もなく、東京2020大会をきっかけに、杉並に大会遺産(レガシー)を残そうと活動していた「杉並区における東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた懇談会(以下「区民懇談会」という)」のメンバーが、東京2020大会に向け、「杉並ならではのお土産を創作しよう」と企画したコンテストがあり、上村さんも応募しました。その時のアイデアは「すぎショコラ」という、すぎぱんとは全く違う作品だったそうです。
コンテストの結果、上村さんの作品は3位となりました。そのコンテストで優勝したのが、別の方が応募した現在のすぎぱんの原形である「SUGIPAN」だったそうです。この「SUGIPAN」、当時はまだデザインのみだったようで、このデザインを元に、杉並区内の店舗で製作してもらうという案だったのですが、区民懇談会のメンバーから「まずは試作品を製作しては」との意見がありました。そこで、お土産コンテストで実際に作品も一緒に応募していた上村さんに白羽の矢が立ち、上村さんがすぎぱんの製造販売に携わる事になりました。
てっきり、すぎぱんは、上村さんがデザインしたものと思っていたので、この辺りの経緯をうかがい、驚きと共に、何か運命というものを感じてしまいました。
すぎぱん製作で苦労された事
区民懇談会と上村さんにより生まれた「すぎぱん」。とても可愛らしいデザインのフィナンシェ菓子(マドレーヌのようなもの)ですが、上村さんは製作するにあたり、まずこのデザインを作る型枠を探すのに、かなり苦労したそうです。
焼き菓子の型は新しく作るとなると、100万円程度かかってしまう事から、使えそうな既製品がないものかと、いろいろと探し回った結果、辿り着いたのが、クリスマスツリーのムースを作る型枠でした。
実は、お土産コンテストで優勝した「SUGIPAN」のデザインは、三角錐の形状だったそうで、すぎぱんの周囲にあるギザギザは、上村さんが苦労してやっと見つけ出した型枠により、生み出されたものでした。これも偶然の産物ですね。
お子様も安心して食べられるように工夫された事
これは、プティガトープポンさんの基本スタンスでもあるのですが、お菓子を美味しくするために、保存料や着色料を使っていないとの事です。すぎぱんの素材については、お子様から高齢の方まで、なじみ易い味わいとなるようにとの理由でフィナンシェを、また葉っぱを表す上部の緑色部分は、フィナンシェに合う抹茶で、という事で、この辺りはそれほど悩まず、すんなりと決まっていったそうです。
このような創意工夫をしながら製作されたすぎぱんに、購入された方々からは、いろいろと嬉しいコメントが寄せられています。
ある老人ホームからは、「すぎぱんは某有名菓子店の味に似ている」との高い評価をもらい、リピート注文がありました。
また、杉並区内の幼稚園で、すぎぱんをクリスマスツリーに見立てて、食材で飾り付けをするイベントを開催した時には、参加した子どもたちに大好評でした。後日子どもたちから、手書きで御礼の手紙をもらい、その時の感動は今でも忘れられないそうです。
このように、製作したお菓子を通じて、地域の方々との交流が生まれている事も、上村さんの日々の製作活動に、大きな励みとなっています。
現在の活動、そしてこれからについて
現在、上村さんは、すぎぱんのさまざまなバージョンを試作販売しています。
1番最初に製作された「なみすけのすぎぱん」(抹茶味)に続いて、広島産レモンを使用したレモン味。他に、ラズベリー味、チョコ&ラム酒味、紅茶味、マロン味と、合わせて6種類になっています(紅茶味とマロン味は季節限定品)。また、すぎぱんシリーズの他にも、そば粉を使ったお菓子作りにも挑戦しています。希望に合わせて、お菓子に名前を焼き付けたりする事も可能で、企業団体からの注文も受け付けています。
今後の抱負をうかがったところ、クラウドファンディングを活用して、地域の皆さんも利用できるような、レンタルキッチンを備えた施設作りにも挑戦してみたいそうです。
上村さんは、プティガトープポン立ち上げ前に鬱病を発症し、なかなか実社会に溶け込む事が出来なかった体験から、精神疾患の方も就職できる菓子製造会社を作りたい、という強い想いがあり、この点、私も大変共感しました。
インタビューを終えて
上村さんの今後のご活躍に期待しつつ、私も微力ながら、協同イベントの企画等で応援させていただきたいと思いました。
また、コンテストの趣旨としては、この1例にとどまらず、いろいろな種類の「すぎぱん」がパン屋や菓子店にて製作されてほしいとのことなので、新しい「すぎぱん」の動向にも注目したいところです。
なみすけのすぎぱんは、区役所1階コミュかるショップでも扱っています。
すぎラボライター とーちゃん
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