[小学校ICT教育]先生にインタビューしてみました【トラブルはあるの?】(令和5年2月15日)

 

ページ番号1086331  更新日 令和5年2月15日 印刷 

「すぎラボ」は、杉並区で子育て中のママライター、パパライターによるコンテンツです。

電車や街で、タブレットやスマートフォンを操る小学生を見たことはありませんか?
彼らは物心ついた時からスマートフォンが身近にある世代。デジタルな世界は昭和・平成に生きた親世代よりもはるかに身近なもののはずです。
そんなICTの進歩がめざましい昨今、タブレットで行うデジタルな授業が増えています。
以前、平成初期に小学生だった筆者が、小学校2年生の授業を見学した様子を記事にしました。

今回はそれに引き続き、授業をされた先生のインタビュー結果をレポートさせていただきます。

ICT教育現場の写真

タブレット端末の扱いについて

タブレット端末の管理について

質問:タブレット端末の管理について、保護者にどのように説明していますか。
回答:
破損した場合の対応を含め、タブレット端末の取り扱いについて入学説明会で説明をして、それが終わってから配布しています。
基本的には1年生から6年生までずっと所有するものですので、皆様丁寧に扱っていただけているようです。

質問:故障があった場合、修理費用・弁償など、保護者の負担はありますか。
回答:
ケースバイケースです。故意の破損や自然故障など、故障の原因が状況により異なりますので、費用負担についてご家庭と協議させていただく場合もあります。

タブレット端末の使い方について

質問:宿題など、家庭にタブレット端末を持ち帰って使用することはありますか。
回答:
あります。但し、現在、当学校では1~2年生は学校保管とし持ち帰りはしていません。
3年生以上になると宿題等で活用するために持ち帰っています。
授業中に終わらなかった課題や、アプリの学習ドリル等をご家庭で進めてもらっています。夏・冬休み中は(先生が担当している)2年生もドリルをするためにご家庭に持ち帰りました。

こうしたタブレット学習は便利ですが、何でもタブレットありきで学習を進めると、文字を書く機会も減るため、小学生の発達段階を慎重に考えながら使用場面を選んで利用しています。

学年が上がるとタブレットの使用場面が増えてきます。

例えば、委員会やクラブ活動で動画作成をしています。
委員会やクラブ活動で作成した動画は児童集会等で全校の児童に紹介します。その際、動画の編集自体は児童が主体となり行っています。タブレットに入っているデフォルトアプリで編集しています。

質問:タブレット端末に、児童が自由にアプリケーションを入れることはできますか。また、アプリを家庭でも利用できますか。
回答:児童側でアプリケーションをインストールすることはできません。

ただ、授業で使っているアプリについてはご家庭のネットワークにつなげば履歴を見ることはできます。Teams(チームス)にログインすることもできますね。

勉強するなみすけのイラスト

タブレットと学習

質問:インターネットやSNSに対するリテラシーについて、どのように指導していますか。
回答:
さまざまな指導計画や資料がありますので、それに則って指導しています。
SNSの指導については、場面に応じて“SNS東京ノート”という東京都教育委員会のポータルサイトや文科省の動画を参考にしています。また、その他にもタブレットのアプリに内のコンテンツにある資料や動画を使いました。

質問: ICT教育に対する保護者の見解や、インターネット環境に家庭ごとの違いがあると思いますが、どのような工夫や配慮をされていますか。
回答:Wi-Fi環境が無い児童にはモバイルWi-Fiの貸与を行い、場合によってSIMカード入りのタブレットを貸与
しています。また、ご家庭ごとにICT教育への見解が異なる点については、保護者会でICT教育の目的をお伝えし、ご理解をお願いしています。

ICT教育を振り返って

質問:児童へ1人1台のタブレットが配布されて、児童にどのようなメリットがありましたか。
回答:児童にとっての選択肢が多くなった
ように思います。例えば、国語の授業においては、教師である私が文章を読むのではなく、音声や映像で視覚・聴覚等をフルに使って指導できることで、児童が内容を把握しやすくなりました。また、文字を読むのが苦手な児童には理解の手助けになるのではないかと思います。そのような意味で総じて学習意欲が保たれやすいのでは。

また、教員側は資料がデジタル化されることで保存・共有できるようになったことがメリットですね。

質問:ICT教育により、児童から引き出された力や変わってきた面などはありますか。創造力を刺激するような場は以前よりもあるのでしょうか。
回答:
あると思います。例えば、以前、音読劇を録音しました。自分の声を客観的に聞くためにタブレットを活用しましたが、これを録音することにより、劇の中の役の気持ちと自分の声とのギャップに気づき、児童たちは「ここもっとこういう気持ちじゃないかな」と想像し、表現の工夫について思考錯誤していました。こんな風にイマジネーションが広がった部分は大きいと思いますね。

また、授業中で課題に取り組む際も、みんな一斉にアプリ上に課題を提出するので、共有されるのが当たり前になっています。以前のように必ずしも挙手した児童や、教師が指名した児童だけが注目を浴びるということではなくなっています。ですので、一人一人が個々で課題に対してより真摯に向かい合っているのではと思います。

パソコンを操作するなみすけのイラスト

その他

質問:入学前に、家庭で準備することや話しておいたほうがいいことなどはありますか。
回答:
ご家庭によっては、リテラシーが高く保護者主導で積極的にタブレットを触らせるケースもありますが、そうでもない家庭もあります。学校では児童の学習状況に応じて指導をしますので、できる限り学校の授業に合わせた使い方をして下さると助かる部分もありますね。

質問:現場で感じたデジタル世代ならではのエピソードを教えて下さい。
回答:意外と知らないことが多いことですかね。
私が担当しているのは小学校2年生なので当たり前と言えば当たり前なのですが。
例えばローマ字入力とか。小学校2年生だとローマ字の学習が終わっていないので、通常ですとキーボードでの入力はできません。ですので、ペンタブレットがメインとなります。

私たちの時代はPCやタブレットはある程度成長してから使用するものでしたので、現代の児童と比較すると、さまざまなリテラシーに違いがあるなとよく感じます。

児童たちは良い意味でICT教育に対して大きく構えていないように思います。タブレットも文房具の一つとして扱っているというか。使いこなそうとしているように感じますね。

ランドセルを背負うなみすけとナミーのイラスト

まとめ

いかがでしたでしょうか!
言うまでも無く世間ではデジタル化が猛烈に進んでいます。今後も子どもたちは、きっと考え方や常識がどんどん更新されていくことでしょう。当然、前提となるICTスキルもきっとハイレベルになり続けていくはずです。
教育の現場では、そのような時流の流れに乗りながらも、ICT教育自体のメリット・デメリットはもちろん、個々によって異なる児童側の受け入れ方についても、寄り添い、考えているのだなと感じました。
先生という存在は、ただ単に勉強を教わるだけのものにあらず。
子どもたちを指導するなかで、模範であり、応援者であり、相談相手であり…たくさんの役割を引き受けていることでしょう。同じ大人になってみるとその存在の深さや重さに改めて頭が下がる思いです。
新しいものに向き合いながらも、児童たちの“先生”でいらっしゃるために努力されている姿勢にとても感動し、同時に一保護者として非常にありがたく感じたインタビューでした。

すぎラボライター えりぱか

 

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