おうちでできる腰痛改善トレーニング(妊娠前編)(令和6年4月1日)

 

ページ番号1093399  更新日 令和6年4月1日 印刷 

「すぎラボ」は、杉並区で子育て中のママライター、パパライターによるコンテンツです。

第一子出産後、子どもを抱っこしていると突然「ごきっ」という音とともに腰に激痛がはしり、動けなくなりました。すぐ近くの整骨院に駆け込むとぎっくり腰とのことでした。しゃがんだり、物を持ち上げたりするのがとにかく痛いし、育児はてんやわんやだし、と辛かった思い出があります。私だけでなく、産後に腰痛など不調にみまわれる経験をしたママの声は多く耳にします。
そこで、妊活中の方や出産を控えた方のための体のハプニング予防のためのトレーニングについて、荻窪地域区民センター協議会主催「腰痛スッキリ体操講座」講師の高橋晃史先生にお話伺いました。

出産に向けての体づくり

産後はぎっくり腰になりやすい?

妊娠すると出産に備えて骨盤まわりが柔らかくなっていることと、妊娠期間中はしっかりした運動ができないので、筋力が衰えてぎっくり腰になりやすい傾向にあります。
それを避けるには、妊活中から筋肉を鍛えておくことをお勧めします。
「筋肉は貯金(貯筋)できる」ので、長い期間トレーニングして筋肉を蓄えていると妊娠中も筋力が落ちるスピードが緩くなります。妊娠期間の約10か月と産後しばらくの間は、筋力を上げる高負荷のトレーニングは安全面から難しいので、なるべく早い時期からのトレーニングをお勧めしています。トレーニングといっても、ジムに通わなくても家の中で家庭にあるものを使ってできますので、いくつかご紹介します。

トレーニング前の注意点

  • 反動を付けないように丁寧に行いましょう
  • 呼吸をしながら行いましょう
  • 体調が優れない場合は無理せずに中止しましょう
  • 関節に嫌な痛みを感じたら曲げ伸ばし等の動作を控えめに行います
    それでも痛みがある場合は中止しましょう

トレーニング3つのポイント

背中、骨盤を支えている筋肉を鍛えるトレーニングをしましょう。

  1. 大殿筋(骨盤を支えるお尻の筋肉を鍛える)
  2. 脊柱起立筋(背骨に沿った筋肉を鍛える)
  3. 菱形筋(背骨と肩甲骨をつなぐ筋肉を鍛え、巻き肩を予防する)

妊娠前におすすめのおうちで簡単トレーニング

お尻の筋肉や下半身を鍛える(バックランジ)

頻度:1週間に2回
(注)呼吸は、吸いながら腰を落とし、吐きながら元に戻る。

バックランジ1

バックランジ2

バックランジ3

バックランジ4


  1. 足を腰幅に開いて立ち、手を腰にあてて、軽く両膝を曲げる。
  2. 片足を後ろに引き、引いた足の踵は上げる。
  3. 両方の膝を曲げ、腰を落とす。前の足の膝は90度まで曲げる。3秒キープ。
  4. 前足の筋肉を意識し、引いていた足をゆっくり前にもどしていく。
  5. 同じ動作を10回行う。
  6. 足を入れ替え、同じように10回行う。(左右10回ずつ行ったら腿の前のストレッチ(後述)を1分間行い、次のセットを行う。)これを3セット行う。

ペットボトルと袋

バックランジ+

(注)慣れてきたら、2リットルペットボトルに水を入れ、スーパーの袋などにいれたものを2つ用意し、両手にもって負荷を上げます。10回位がやっとできる負荷が理想です。

片足上げ(腿の前のストレッチ)

(注)呼吸は自然に行います。

腿の前のストレッチ

1.立った姿勢から、片方の膝を背中側に曲げ、つま先を片手で持ってお尻に近づけ、腿の前側を伸ばす。

2.左右の足で30秒ずつ1回行う。

脊柱起立筋を鍛える(バックエクステンション)

頻度:1週間に2回
(注)呼吸は、吐きながら背中を上げ、吸いながら戻す。

バックエクステンション1

バックエクステンション2

バックエクステンション3


  1. 床に顔を下にしてうつ伏せの体勢になる。骨盤の下にクッションやまくらを置いて、足を腰幅に開いて壁につけるか、誰かに足をおさえてもらう。
  2. 頭の後ろで両手を組み、腰から上を反らし上半身のみ上げてから、右に3回、左に3回、真ん中3回の計9回、背筋を使って上半身をねじる。2秒で上げ、上で3秒キープ、2秒かけてうつ伏せの体勢に戻す。
  3. 上記2.を3セット行う。

バックエクステンション+

(注)慣れてきたら、2リットルペットボトルに水を入れ、首の後ろにおいて両手で持ち負荷を上げます。9回がやっとできる負荷が理想です。

背中の筋肉のストレッチ

背中のストレッチ1

背中のストレッチ2


  1. 床に腰を下ろし、足を左右に大きく開く。上半身は前に倒して手を床につける。
  2. 開いた右足の外側に、左の腕を沿わせるようにして背中をのばし、20秒キープする。右、真ん中、左の順番で背中の筋肉を伸ばす。
  3. 上記2.を1セット行う。

巻き肩を予防する菱形筋のトレーニング

頻度:1週間に2~3回
(注)呼吸は、吸いながら肘を上げる、吐きながら元に戻る。

巻き肩予防1

巻き肩予防2


  1. 2リットルペットボトルに水を入れ、スーパーの袋などに入れたものを2つ用意する。腰を90度くらいに曲げて両手にペットボトル入りの袋を持つ。
  2. 息を吸いながら両肘を肩の高さに上げ、袋を持って肘を90度に曲げた状態で肩甲骨を寄せ3秒キープ。
  3. 息を吐きながら腕を下ろす。
  4. 上記2.から3.を10回繰りかえす。(10回行ったら菱形筋のストレッチ(後述)を1分間行う。)これを3セット行う。

(注)息を吸ったり吐いたりと呼吸が大事です。呼吸の意識は筋トレ動作時のみで、ストレッチ時は自然呼吸です。

菱形筋のストレッチ

菱形筋ストレッチ1

1.腰を下ろして足を左右に大きく開く。足はまっすぐ伸ばさなくてもよく、膝が浮いていてかまわない。

2.両手の指を組んで手のひらを反対側に返して腕を伸ばし、身体を右斜め前に倒して肩甲骨の間の菱形筋を30秒伸ばす。

3.左側も、上記2.と同じように行う。

続けるコツ

「こんなトレーニング続けられない」と思われたかもしれませんが、全てのトレーニングを1日でやるわけではなく、1日1項目から2項目ずつ週3回にわけてやれば十分です。
一夜漬けのようにいっぺんに筋肉に負荷をかけず、お休みをとりながらゆっくり続けていくのがコツです。

さいごに

「筋肉は貯金(貯筋)できる」との高橋先生の言葉に衝撃を受けました。先生の奥様は出産されたばかりのとき、例にもれずぎっくり腰になられたそうですが、トレーニングをしていたおかげで2日ほどで復調できたんだそうです。
テレビを見ながらでも手軽におうちでできるトレーニングなので私も出産前に知っておきたかったです。
と、そんなことを高橋先生に申し上げると「産前産後でなくても腰痛にいいトレーニングですよ。」とおすすめされました。地道にやります。

取材協力

講師

高橋晃史(たかはし こうじ)さん
一般社団法人背骨コンディショニング協会認定スペシャリスト。
杉並区在住。杉並区荻窪地域区民センター協議会主催「腰痛スッキリ体操講座」講師。広報すぎなみに講座が告知されると毎回即満員になる人気講座です。
Instagram:koji_takahashi1980
X(旧Twitter):twitter.com/sebonekun7


アシスタント

矢作聡子(やはぎ さとこ)さん
一般社団法人背骨コンディショニング協会認定パーソナルトレーナー。
杉並区荻窪地域区民センター協議会主催「腰痛スッキリ体操講座」アシスタント。


すぎラボライター さくら

 

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