子どもが8歳から歯科矯正を始めることになった話(令和6年5月1日)
永久歯が生えはじめた頃から、ちらほら話題になる「子どもの歯科矯正」。興味はあっても、なんとなく後ろ向きになりませんか。本当にやった方がいいのかわからない、子どもが痛がらないかどうか心配、手入れが大変そう、費用が高いなど、しり込みしてしまう意見も聞こえてくるからではないでしょうか。
筆者の子どもは8歳で歯科矯正を始め、もうすぐ1年です。まだまだ途中経過ではありますが、矯正を始める前と比べると成果が出はじめており、親子ともにやってよかったと思っています。
そこで始めた経緯や経過、現在までにかかった費用などご紹介します。
歯並びが心配で歯科検診を受ける
子どもが8歳を過ぎた頃、笑った顔を見てふと思いました。
「上の前歯が抜けたのって、いつだったかな」子どもの抜けた歯の後には、いつになっても歯らしきものが見えません。何かにぶつけたり、硬いものを噛んで歯がぐらぐらして抜けたわけではなかったのに、なかなか生えてこないのです。しかしその時は気になりはしても、問題なのかどうかがわかりませんでした。
歯科検診に行ったきっかけ
歯科検診に行ったきっかけは、上の前歯の乳歯が抜けた後にスムーズに永久歯が生えてこなかったことでした。下の歯はすぐに生えてきたのに、上の前歯は2本とも抜けたっきり。ついには上の歯の3本目がぐらぐらしてきました。同じ頃に、歯茎から小さな歯の先っぽのようなものが見えてきたのですが、結局3本目が抜けてから、2本の大きな前歯が生えてきました。
永久歯の前歯は乳歯と比べて大きく、なぜか2本の間に乳歯の時にはなかった2ミリメートルほどの隙間ができました。永久歯は生えたけど、もしかしたら抜けた乳歯のスペースでは、永久歯が生えるスペースが足らなかったのかしらと心配になり、行きつけの歯科医に相談をすることにしました。
ちなみに相談を決めた時点では、小学校の歯科健診で問題があるとは言われていませんでした。
歯科検診の内容
「歯の生え変わりがスムーズではないため、歯の状態を見てほしい」と言って、歯科医に予約を入れました。筆者のかかりつけで、小児歯科の看板はない所ですが、小学生でも問題なく診察してもらえました。
お口の中を診察し、レントゲンを撮り、すでに出てきている歯以外に、歯茎の中に永久歯があるのかどうかを確認しました。
ちなみに医療証がある為、健診の費用は掛かりませんでした。
歯科検診の結果
診察の結果、歯が抜けた部分は歯茎の中に永久歯が確認できたのですが、永久歯が生えるスペースが上下それぞれ2本分程狭い事がわかりました。
何もしなければ、上の歯も下の歯もスペースが足りない状態で歯が生えていく。そのため、歯がきちんと並ぶように歯を抜かなくてはならないかもしれない可能性と、歯並びが悪いことで歯磨きがしにくくなり、虫歯の可能性が高まると言う事実が伝えられました。
提案された処置の方法
現在の子どものお口の中の状況から、処置を勧められました。処置方法で考えられるのは2つ、歯科矯正か、抜歯です。
抜歯の場合はしばらく先で、おおむね永久歯に生え変わった後の対応です。複雑な処置が想定されるため、恐らくかかりつけの歯医者ではなく、大学病院での手術になるそうです。
歯科矯正の場合はすぐにでも処置を始める事はできるが、歯科矯正で全ての歯がきれいに並ぶかどうかは、確実ではないと言う事でした。更に歯科矯正をする場合は乳歯から永久歯に生え変わっている間がおすすめで、遅くとも10歳頃までに始めた方が良いとの事でした。
歯科矯正はいくつかの方法がありますが、いずれも虫歯の治療とは異なり、保険適用外の処置になるため、子どもでも費用が掛かります。当院で矯正をする場合は、「床矯正」による治療で、費用はおおむねこのくらいです、他の治療方法を希望する場合は他の歯科医院を当たって下さい、と紹介を受けました。
ご家族で検討の上、当院で治療する場合は改めて予約を取ってくださいとのことでした。
検診で現状と処置の方法はわかりましたが、判断の持ち帰りとなってしまいました。歯ならびは必ず治療してもしなくてもいい事であり、治療する場合も何パターンもあるからです。てっきり歯医者さんから「早速歯科矯正を始めましょう」と言われると思っていたので、拍子抜けでした。
歯科矯正を決めた決め手
歯医者さんから何度も「歯科矯正は必ずしなくてはならない治療ではないため、デメリットを理解した上で検討してください」と言われました。
更に、「始めるのは早い方が良いが、本人のやる気が必要なので、特に本人の意思をしっかり確認してください」との事でした。
なぜ本人のやる気が必要かと言うと、提案された「床矯正」(注)は、本人が自主的に矯正装置を装着しなくては効果が全く出ないからです。
(注)「床矯正」とは、ワイヤーでできた入れ歯のような装置を口の中に長時間装着して時間をかけて少しずつ歯を矯正するものです。1週間に1回ネジを巻いて、少しづつ床の部分を広げていき、順調にいくと1年程で歯1本分広げる事ができます。
歯科矯正のデメリット
治療の検討のためにと歯医者さんからいくつかのデメリットを教えていただきました。
子どもに負担がある
どんなマウスピースもつけ続ける必要があります。最低でも半日以上、できるだけ長い時間装着をしている必要があります。つけないと効果がないし、長時間外してしまうと広がった顎が元に戻ってしまいます。食事と歯磨きを除き、できるだけ長い時間装着をするのが理想です。
マウスピースを使っていると、体育や国語の音読、音楽の時間で話しにくくて苦労する事があるそうです。
お手入れが必要
装着していると歯石などがつき汚れる為、矯正用の洗浄剤などを使い毎日お手入れが必要です。
費用が掛かる
多くの場合、歯科矯正にかかる費用は全て保険適用外です。医療費控除の対象とはなりますが、大きな出費です。
床矯正の矯正装置を作るために、型取りのための費用(1回、1個いくら)、矯正装置本体の費用(1回、1個いくら)、毎月の診察費用1回いくらと費用が掛かります。つまり作成する矯正装置の個数の数で費用と治療期間が大きく変わってきます。
筆者の子どもの場合、矯正装置を3個作る必要がある為、治療にかかるのはおよそ3年間。費用はざっくり50万円ほどかかるそうです。
ちなみに歯科医によって治療可能な矯正の種類が異なりますし、同じ治療でも費用が異なります。検討する場合は、いくつかの歯科医で話を聞いて、比較、納得の上で始めるのがおススメです。
完治しないリスク
筆者の子どもの場合ですが、顎がとても小さく、歯科矯正だけでは歯が並びきらない可能性があるとの事でした。全て並びきらなかった場合、大学病院で抜歯するか、そこまでの治療で終わりにする(諦める)のどちらかを選択しなくてはなりません。
我が家では、4つのデメリットの中で「子どもに負担がある」事が一番心配でした。もう少し大きくなってからにしようかと考えましたが、本人が「お友達もやっているから大丈夫」と言ったので、歯科矯正を始めることにしました。
歯科矯正を始めてあった出来事
歯科矯正を始めてそろそろ1年になります。本人の頑張りがあり、順調に矯正装置が広がってきていて、もう少しで1つ目の矯正装置の治療が終わろうとしています。最後に矯正装置が口の中に入っていて当たり前になったこの1年間での子どもの様子や困ったことをご紹介します。
困ったエピソード
学校生活
本人はすぐに慣れたと言っていたのですが、担任の先生からは最初の1か月ほどは活舌が悪くて、何を話しているのか聞き取れない事がありましたと言われました。また、元々なかったものが口の中にある事で、無自覚で口の中でマウスピースを外して、遊んでしまうと言われました。先生がそう思った通り、本人に聞いてもわからないと話していました。
病気で1週間分後戻り
胃腸炎になった時、気持ちが悪い状態で口の中にマウスピースが入っていると辛い為、一晩外して過ごしました。翌日落ち着いたタイミングで矯正装置を付けたところとてもきつく、1週間分元に戻してから装着をしました。体調不良の上、1週間分戻ってしまった事で本人はとてもがっかりしていました。
マウスピースのワイヤーが切れる
体育の授業中、力をこめるために奥歯をぐっと噛んだらワイヤーが切れてしまいました。幸い切れたワイヤーで口の中を切ることはなかったのですが、修理が必要になりました。部品を取り寄せてもらい1週間ほどで修理できたのですが、修理費が5,000円程かかり痛い出費でした。
我が家の歯科矯正生活は順調に行ってもあと2年続きます。最初心配していた本人負担も慣れてくることで大分緩和された気がします。いろいろありましたが、成果が見えたことでモチベーションも維持できそうです。歯科矯正をするかどうか、悩んでいるご家庭はまずはかかりつけの歯医者さんへ相談をしてみてはいかがでしょうか。
すぎラボライター らくちゃんママ
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