[小学校ICT教育]小学2年生タブレット授業の潜入レポート【令和キッズの新常識】(令和5年1月15日)
ふと気づけばコロナ禍も丸3年が過ぎようとしています。
この3年、我々大人たちは感染症から子どもたちを守るために、プロセスを変えルールを変え、各々が必死にコロナ禍と向き合ってきました。
ふと立ち止まってみると、オンラインによる授業配信が広まり、子どもが自らタブレットを活用する日常…「あれ、世の中が…変わっている、変わっているぞ…」
教育現場は昭和の頃から変わらないという世間の声も時たま耳にしますが、いいえ、大きく進化をしています。
今回は平成初期に小学生だった筆者が杉並区の小学校にお邪魔して、タブレットを使った授業を見学させていただき、更に先生にインタビューをしてきました。
本記事では小学2年生の道徳の授業の様子をレポートします。
子どもたちを思う先生の努力が今この瞬間も時代を動かしています。
令和の小学生たちはICT化の最前線にいます!
授業の導入は個人用のタブレットを横に置き、先生の話に集中
授業の導入場面は、先生の話を集中して聞くためにタブレットを閉じています。
児童の皆さんが授業前に教室の一角にある充電キャビネットからタブレットを取り出し、個々の机の上に用意します。1年生から持ち上がりの端末です。この先も児童と一緒に進級していく、大切な相棒です。
今日は道徳の授業です。
休憩時間の雰囲気がほのかに残る教室で授業開始の号令がかかり、まずは先生が授業の導入になる話をします。徐々に児童の皆さんが授業のモードになっていきます。
この授業では紙の教科書は使わず、黒板に貼られたスクリーンを見てテーマ文を確認します。
電子教材の音声がスピーカーから流れます。
教室からざわめきが無くなり、皆集中してスクリーンを見ています。
テーマ文の範読が終わると、内容について先生から確認問題が出されます。
先生が問題を言い終わる前に「はい!」「はい!」と勢いよく手が挙がります。まだ質問終わってないよ(笑)
登場人物の気持ちを皆で考えていきます。
次々と挙がる手に一つ一つ対応しながら、先生はチョークをタッチペンに持ち替え、タッチスクリーンに一人一人の発表内容を手早く書いていきます。
ひとしきり発表が終わると、さあ本題に入ります。
次は「このクラスの良いところを考えよう」です。
いよいよタブレットを使う時がやってきました。
先生が「タブレットを開いてください」と言うと、児童の皆さんから
「やったーーー!」
「わーーーい!」
と歓声が上がりました。
楽しいタブレット授業!
思い思いの意見をタブレットに描く
机の上に置かれたタブレットを開いて、さまざまな方法で自分の意見を書き込んでいきます。「このクラスの良いところ」というテーマに児童の皆さんはアイデアが止まりません。ローマ字入力をして文字を打ち込む児童もいれば、タッチペンでタブレットに絵や文字を書き込む児童もいます。
自分の意見を書き込めたかな、というタイミングでタブレット上の「共有」ボタンをクリックすると、クラスのみんなのタブレットや先生が立つ前方スクリーンに意見を書いたカードが表示されます。
時間が経つにつれて、一人、また一人と前方スクリーンに意見カードが提出され、埋まっていきます。
授業は全員参加!一人一人の意見カードをみんなで鑑賞
クラスの皆の意見カードが出そろった時点で、先生が紹介していきます。
「やさしい」「明るい」「おもしろい」「仲良し」
楽しいクラスのようですね。
先生が笑顔で次々と意見カードを紹介していき、児童の皆さんもうんうんと頷きます。
そんな中、先生が「ケンカをする」という言葉が書かれたカードをピックアップしました。
「『クラスのよいところ』なのに『ケンカをする』ってどういうことだろう?」という先生の投げかけに、間髪入れず何人もの手が挙がります。
ある児童が「ケンカするほど仲が良い」と言うと、他の皆も少し納得した様子。
「そうかそういう意見もあるのだな」という空気が流れます。
クラス全員で授業に参加しつつ、少数意見も尊重する、というのは理想ではあるものの、なかなか難しいものです。
筆者の小学生時代、挙手をする人は大体決まっていて、予定調和的に授業が進んでいくことが多かったように思うのですが、この授業ではタブレットで描いた全員の意見カードを全員で見ることが可能になったことで、少し違った視点の意見についても話し合うことができました。
新しい風を感じたようで、筆者の胸は少し高鳴りました。
授業後のお片付け
授業終了の号令がかかり、6時間目が終わりました。
今日の授業はこれで終わりですが、帰りの準備をする前にタブレットの片づけをしなければいけません。みんなそれぞれのタブレットをもって教室前方のキャビネットにしまいます。充電はキャビネットの中で行います。
だんだん教室が慌ただしくなっていきます。放課後の予定は皆それぞれ。
クラスの皆にさよならをする時間が近づいています。
今またにぎやかになりつつある教室に少し名残惜しさと懐かしさを感じながら、今やすっかり大人になってしまった取材班はその場を後にしたのでした。
まとめ
「デジタルネイティブ」と言われている世代よりも更に新しい世代を今回レポートさせていただき、当たり前かもしれませんが“常識”や“感覚”は日々更新されていくものだなあと感じました。
教科書の文を読み上げるのは先生や児童・生徒ではなく音声データかもしれず、絵を描く道具は色鉛筆ではなくタッチペンかもしれません。
それにしてもタブレットを扱う子どもたちの楽しそうな顔と言ったらありませんでした!
もちろん、全てをデジタル化することが答えではなく、先生方もデジタル化すべきところ、アナログで残すべきところを日々考えながら教鞭をとっていらっしゃいます。
次回は『タブレットを家で管理できるの?』や『デジタル化って子どもたちにどんな意味があるの?』と言った保護者の疑問を先生に伺った結果をレポートします。
すぎラボライター えりぱか
杉並区教育委員会ホームページの「杉並で学ぶ子どもたち」のページでは、各小中学校のデジタル化に向けた取り組みを紹介しています。合わせてご覧ください。
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