多様な個性のある子どもたちが学び合う学校運営の実現に向けて
学校運営協議会の委員を対象とした連絡会を開催しました。
当日は56名の会長や職務代理、委員の方にご参加いただきました。
前半は「杉並区の特別支援教育」というテーマで、特別支援教育課長の講演、後半は「多様な個性のある子どもたちとの関わり方」をテーマに、合同会社Active Learners(アクティブ ラーナーズ)の米元洋次氏をお招きしてグループトークを行いました。
はじめに白石高士教育長の挨拶がありました。
令和5年度4月に済美養護学校に学校運営協議会が設置され、杉並区立学校全てがコミュニティースクール(CS)になったことで、全校からCSの代表が集まる初めての会だということ、杉並区は特別支援教育の聖地、パイオニアであることなどについてお話がありました。今回、特別支援教育、多様な個性のある子どもたちとの関わり方をテーマにしたのは済美養護学校へ学校運営協議会が設置されたことが理由の一つということもあり、済美養護学校の成り立ちついて知る機会となりました。
最後に、「個性、違いを認め合うこと」、「誰一人取り残されることなく、互いに生かし合うこと」、「一人一人が輝くこと」を目指して、今日の学びを各学校運営協議会へ持ち帰り、よりよい教育活動の実現に向けた協議に生かしてほしいとのメッセージがありました。
前半の講演「杉並区の特別支援教育」について紹介します。
特別支援教育課長には、そもそも特別支援教育とは何か、障害種と程度、発達障害などの基礎・基本から、杉並区の特別な教育的支援を必要とする子供の学びの場、特別支援教室(発達障害)利用児童・生徒数の推移など区の具体的な現状等について説明がありました。児童・生徒の具体的な様子を交えた話に、参加した委員の皆さんは頷いたり、メモをとったりしながら話を熱心に聞いていました。
「チーム学校」で特別支援教育を進めるためには多様性の認識が必要であり、それぞれの学校の実態、子どもの様子を見て、どのような支援が必要かを学校と共有していただきたいとの言葉で講演は締められました。
後半は「多様な個性のある子どもたちとの関わり方」をテーマにしたグループトークです。「身近にいる、困っていそうな子」とはどんな子どもか、またそうした子どもに、「自分たちはどんな関わり方ができそうか」を柱にグループトークを展開しました。
まずは、自分の身近にいる、困っていそうな子とはどのような子どもかを付箋に書き出しました。次のような子どもが挙げられました。
「身近にいる、困っていそうな子」とは…
落ち着きがない子、授業中に寝てしまう子、感情の起伏が激しい子、同じ課題に取り組むことが難しい子、席に座っていられない子、つい手が出てしまう子、気持ちや行動の切り替えが難しい子 など
模造紙にメモを書いたり、付箋を貼ったりしながらどういった子どもが困り感をもっているのか、その背景や理由などについて児童・生徒の実態やご自身の経験などを基に活発に意見交換がなされました。「他者理解が進むと考えれば、一緒の空間にいることもよいかもしれない。」、「毎朝、家の前に立っていると、いろいろな子どもがいることを実感している。」など、多様な立場、視点から意見が飛び交いました。
写真から少しでもそのときの熱気が伝わればよいのですが…
次に、「自分たちは、どのような関わり方ができそうか」について協議をしました。はじめは、考えられる具体的な手だてについて話し合ったり、自校の実践を紹介したり、他校の実践について質問したりしていましたが、徐々に「しっかり学校や児童・生徒の様子を理解できているのか。」や「学校運営協議会として役割を果たしているか。」など、学校運営協議会の在り方そのものにまで、協議は広がっていました。
まとめの時間には、次のような考えが聞かれました。
- 数値だけだと分からないこともあるので、実際の様子を今一度見る必要がある。
- 先生の思い、困っていることを知る機会を大切にしたい。
- 小学校生活と中学校生活を円滑につないでいきたい。
- 当事者である子どもたちと一緒に考えることも必要
- 学校任せにせず、学びを支える人たちが、自分にできることを少しずつでもやっていけばよいのではないか。
みんなで一緒に取り組んでいこうという思いが、どのグループからも感じられました。平成17年度から設置が始まった学校運営協議会も、令和5年度をもって全校に設置されました。これまでが「量的な拡充」の段階であるとすれば、これからは「質的な向上」を図っていく段階であると言えます。
今は変化が激しく、明確な答えがない社会と言われます。変化が激しく、明確な答えがないからこそ、柔軟に、できることから、「まずはやってみる。」という思いで取り組むことができるのではないかと考えています。杉並区教育委員会としても、これまでの積み重ねを大切にしつつも、常に「今の子ども」を中心に置いて、それぞれの学校運営協議会のよりよい運営の支援に努めてまいります。
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