Liberta(リベルタ)こども食堂に行ってきました(令和2年9月1日)
最近よく耳にする子ども食堂ですが、杉並区にも多くの子ども食堂があります。今回は、阿佐谷で子ども食堂を運営されている福田恵美さんにお話を伺ってきました。
子ども食堂とは
地域の方や民間でボランティアが主体となり、無料・低価格でお子さんやその保護者の方に栄養のある食事を提供する場です。
貧困対策として実施されることも多い取り組みですが、それにとどまらず、地域の交流拠点となったり、孤食の解決となったりと、活動の目的や意義は広がりを見せています。
杉並子ども食堂ネットワークとは
杉並区では、平成28年から区内の子ども食堂をつなぐ仕組みとして「杉並子ども食堂ネットワーク」が立ち上がりました。作成されたリーフレットでは、区内の子ども食堂の場所や実施日、料金及び連絡先などが掲載されています。
またこのネットワークを通じて、食堂同士で食材の情報交換なども行っています。
杉並子ども食堂ネットワークに参加している食堂のリーフレットは杉並区のホームページから見ることができますし、杉並区社会福祉協議会(杉並区天沼3丁目19番16号ウェルファーム杉並複合施設棟2階、4階)にも置いてあります。
Libertaこども食堂について
Libertaこども食堂は阿佐ケ谷駅北口から住宅街を5分程歩いたところにあるスペースで開催されます。お店はガラス張りで、とても入りやすい雰囲気で、外には寄付された食材のことや写真などの掲示もあります。
住所 | 東京都杉並区阿佐谷北2丁目5番7号 |
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開催日 | 毎月第2・第4水曜日 午後5時30分~なくなり次第終了 |
料金 |
高校生まで無料 大人:300円 |
Libertaこども食堂でお話を伺いました
ニュースなどで話題になることが多い子ども食堂ですが、なかなか関わりを持つ機会が少ない、という方も多いはず。今回は、Libertaこども食堂を運営されている福田恵美さんに、子ども食堂を始めるきっかけや地域とのつながりなどについてお話を伺ってきました。
こども食堂を始めたきっかけを教えて下さい。
子どもが生まれつき難病を患っていました。長期入院を余儀なくされ、地域とのつながりも持てず、闘病中には弱った体でも吸収できる水を世界中から探したり、小児医療を守るための活動を行ったり、子どものためにできることは何でもやりました。しかし、3歳で亡くなりました。
この経験を通して、その子が生まれた意味や生きるとはどういうことかを知り、まわりの難病の子どもの母親にそれをどう伝えればよいのか、怒りや悲しみを増幅させるのではなく、解決が容易ではない苦しみを癒すためには、ありがたいという感謝の気持ちが大切なのではと考えるようになりました。
そんな中、病気の子どもとその家族を支援する取り組みであるドナルドマクドナルドハウスの研修生募集の記事を見かけ、参加することにしました。
実際に参加してみると、日本のように当事者だけでかたまったり、社会から孤立したりするのではなく色んな人が関わり合い、さまざまな形で入院中の家族のサポートをしていて素晴らしいと思いました。
その後、ドナルドマクドナルドハウスの日本への導入が決まり、そのお手伝いをしているさなか、東日本大震災が発生しました。
その時に、被災地から東京都内のホテルに避難してきていた福島の子どもの学習支援をすることになったのですが、身近に福島の子ども達と接している内に、放射能による病気のリスクを考え、ドナルドマクドナルドハウスのような仕組みで、福島の人達が集まれる場所を作りたいと思うようになりました。
ですから、当初は病気と闘う子どもの支援・福島の支援という形で活動を始めました。
その後、自分の子どもに母乳さえあげられなかった経験から、子ども達においしいごはんを食べさせてあげたいという思いで、地域の人にご協力いただきながら子ども食堂を始めました。
実際に運営されて、いかがでしたか。
福島から避難されている方が集まる場所として始めたのですが、当初は避難しているということを知られたくないという方もいらっしゃったため活動をオープンにできませんでした。
しかし、実際に子ども食堂をスタートしてみると、たくさんの地域の方に来ていただけるようになりました。お米や缶詰などの食材の寄付をいただいたり、ボランティアスタッフとして配膳をお手伝いいただいたり。中には高校生のボランティアスタッフもいますよ。
嬉しい驚きだったのは、こども食堂で福島の子どもたちの支援の話をすると、自然に受け止めていただけるということです。
コロナウイルスの影響について教えて下さい。
多くのこども食堂が中止を余儀なくされていたのですが、Libertaこども食堂は逆でした。
保護者の方とお子さんが一緒に過ごす時間が長くなることで、保護者の方にストレスが溜まり、それが虐待につながる可能性もあります。また、お子さんも逃げ場所がなく追い詰められているご家庭はないか、と心配になり、逆に今こそ必要と思い立ち、通常月2回の営業を月4回にした時期がありました。また、感染防止対策としてテイクアウトで行うようにしました。
さらに、学校が休校になり、給食の食材の寄付も多くいただくようになったので、寄付食材の配布も行うなど、さまざまな取り組みを行うきっかけにもなりました。
現在の運営状況について教えて下さい。
現在は、コロナウイルスの感染拡大を受け、三密を避けるため、少人数のボランティアスタッフで運営しています。
また、子どもの闘病中、体に良いものを世界中から探した経験から、おいしくて健康なものをお子さん達に食べさせてあげたいという思いはずっと持ち続けており、手作りにこだわり、食材には無農薬のものを多く取り入れ、安心安全を心がけています。
現在のこども食堂は月2回の開催ですが、8月など給食のない長期休暇の時期は月4回の昼間の開催を考えています。
今後について教えて下さい。
杉並区という地域に関係なく、色んな方に来ていただき、全ての子どもが幸せになってほしいと願っています。
子どもを中心にすると、人が繋がりやすくなり、自分も何かしたい・何かできるのではないかという気持ちをお持ちの方達が参加しやすくなります。
私の母校である成蹊大学で、企業のフードロスなどを受け入れるフードバンクの設立を企画しています。個々のこども食堂が協力し合い自治体を超えて広がっていくとよいですね。
おわりに
取材を通して、Liberta子ども食堂が地域に深く根差しており、大変身近に感じることができました。Libertaこども食堂は、コロナウイルス感染拡大を受けた休校中、学校給食食材や企業の食材寄付を配布し、また引きこもりや地域とつながっていない子どもたちの情報もあるため災害時には防災の拠点としての役割も担うのではとおっしゃっていました。
地域との強いつながりを通じて、色んな方とつながり、さまざまな役割を担っている子ども食堂を、ぜひ応援して下さい。
すぎラボライター あらゆ。
このページに関するお問い合わせ
子ども家庭部管理課庶務係
〒166-8570 東京都杉並区阿佐谷南1丁目15番1号
電話:03-3312-2111(代表) ファクス:03-5307-0686