区立施設再編整備計画(第一期)・第一次実施プランの主な成果
(1)区立施設等を活用した保育所整備
区では、女性の就業率の高まりに伴い保育需要が増加する中、区民ニーズの高い認可保育所を核に整備を進めてきました。
認可保育所の整備に当たっては、確実に整備を進めるため、民間保育事業者が自ら土地・建物を確保した上で整備を提案する手法のほかに、区立施設再編整備計画に基づき、区立施設や国・東京都の公有財産、さらには国家戦略特区制度等を活用し、認可保育所の定員確保に努めました。加えて、老朽化した区立保育園の改築に当たっては、定員の拡充を図るとともに、仮設園舎については、近隣にある複数の保育施設等の改築に有効活用してきました。
こうした取り組みにより、認可保育所の定員確保を着実に進めることができ、平成30年4月には、厚生労働省が調査を開始した平成13年度以降、初めて待機児童ゼロを実現することができました。
しかし、認可保育所への入所を希望された子どもの内、約1/4が認可保育所等に入所の内定ができていない状況です。今後も保育需要の増加が見込まれる中、待機児童ゼロの継続はもちろんのこと、希望する全ての子どもが認可保育所に入所ができるように、区立施設再編整備計画で生み出される用地などを有効活用しながら、引き続き、認可保育所を核とした整備を精力的に進めていきます。
(2)児童館再編による子どもの居場所の拡充
児童館では、乳幼児親子の利用と学童クラブの利用が大幅に伸びており、特に学童クラブの利用者数は、平成20年度から29年度までの10年間で50%近く増加しています。そのため、施設の一部を学童クラブの部屋に変えていくなどの工夫もしているところですが、学童クラブの需要は今後も伸びていくことが見込まれており、これ以上、児童館の中で学童クラブを拡大することは困難になっています。
一方、今後の区の財政状況を見据えると、新たに児童館施設を増設していくことは困難です。このような状況を踏まえて、児童館の再編整備を次のとおり進めることで、子どもの居場所の拡充を図ります。
- 小学生の学童クラブの実施場所及び放課後等の遊び場(小学生の放課後等居場所事業)については、小学校内等に移します。
- 乳幼児親子の居場所は、子ども・子育てプラザや今後再編整備する地域コミュニティ施設などを活用して、小学校の通学区域単位での設置を基本とした身近な場所で気軽に利用できるよう、区全体で現在と同程度の数を確保していきます。
- 中高校生の居場所については、既存の「ゆう杉並」のほか、(仮称)永福三丁目複合施設などに整備する地域コミュニティ施設等のスペースを活用して確保します。
平成28年度以降、学童クラブの小学校内での実施については3か所、小学生の放課後等居場所事業の小学校内での実施については2か所、さらに子ども・子育てプラザの整備については3か所で進めてきました(平成30年8月現在)。
この内、旧和泉児童館の再編整備においては、杉並和泉学園内に学童クラブを移転することで、広々とした校庭などを利用し良好な育成環境を確保しました。同校内における放課後等居場所事業の平日の小学生利用者数は、月間平均で旧和泉児童館のときの約2倍に増加しました。また、旧和泉児童館を改修・転用して再編整備した「子ども・子育てプラザ和泉」では、乳幼児の利用者数が旧和泉児童館の約4倍に増加するなど、いずれも利用者の増加につながっています。
(3)統合後の学校跡地等を活用した特別養護老人ホーム等の整備
高齢化の急速な進展に伴い、今後一層、要介護高齢者が増加することが予想される中、介護が必要になっても住み慣れた地域で引き続き安心して生活ができるよう、特別養護老人ホーム等の整備を着実に進めていく必要があります。
杉並区総合計画では、平成22年度に1,307人だった特別養護老人ホームの定員を、令和3年度に1,081人増の2,388人とする目標を掲げ、整備を進めることとしています。
これを受け、区立施設再編整備計画においては、統合後の小学校跡地や未利用の国・都の公有地を活用した特別養護老人ホーム等の整備を掲げ、これまで取組を推進してきました。その結果、令和3年度までに、627人の定員を確保することができる見込みとなったほか、本計画以外の取組も合わせて、上記目標を上回る定員を確保する見通しとなりました。
活用している施設・用地 |
定員 |
開設年度(予定含む) |
---|---|---|
旧永福南小学校跡地 |
70人 |
平成29年度 |
旧新泉小学校跡地(注) |
72人 |
平成30年度 |
旧科学館跡地(注) |
60人 |
平成30年度 |
高井戸東三丁目国有地(注) |
144人 |
平成31年度 |
成田東三丁目都有地(注) |
29人 |
平成31年度 |
高円寺南五丁目国有地(注) |
84人 |
令和2年度 |
天沼三丁目用地(荻窪税務署移転後の跡地等)(注) |
168人 |
令和3年度 |
合計 |
627人 |
|
(注)定員数および開設年度については予定です。
(4)あんさんぶる荻窪と荻窪税務署等との財産交換によるウェルファーム杉並の整備
近年の急速な高齢化の進展に伴い、区では特別養護老人ホームの整備が急務となっていますが、住宅都市である杉並区では、特養の整備に必要な大規模な用地を確保することは以前から困難な状況でした。一方、国では、荻窪税務署が老朽化しており、かねてからその建て替えが課題となっていました。区と国の双方に課題がある中で、区が荻窪税務署とその隣地の旧公務員宿舎の用地を取得し、一体的に活用することができれば、用地の規模を生かした大規模な特別養護老人ホームなどの施設を整備することができます。また、国にとっては、駅からも近く、築年数も15年程度である「あんさんぶる荻窪」の建物を荻窪税務署に転用することで、改築工事の際の仮設庁舎や新たな施設の建設が不要となるなど、効率的な施設整備を行うことができます。このように、区及び国がそれぞれの課題を解決するとともに、区民福祉の向上を図ることができることから、区は「あんさんぶる荻窪」と荻窪税務署等との財産交換を行いました。
国との財産交換の成果として、平成30年3月、当該用地の一部を活用して「誰もが気軽に利用できる福祉と暮らしのサポート拠点」である「ウェルファーム杉並複合施設棟」がオープンしました。この施設は、これまでの「あんさんぶる荻窪」の機能の内、杉並福祉事務所や消費者センター、就労支援センターなどの移転に加え、新たに在宅医療・生活支援センターや子ども・子育てプラザ、区民集会所などを設置し、福祉と暮らしに関するさまざまな相談などに対応しています。
将来的には、令和3年度に開設予定の特別養護老人ホーム棟と合わせ、区民の生活を幅広く支える拠点としていきます。
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