子育てママのメンタル事情2「外に出たい! Bさんの場合」(平成30年4月15日)
「子育てママのメンタル事情」シリーズ第2弾です。
今回は、外に出てリフレッシュすることができず、苦しくなってしまったBさんのお話です。
Bさんの場合
不調に気づいたきっかけ
上の子がわがままを言うと、瞬間的に怒りが湧いてきて、物を投げたり、大きな声で怒鳴ってしまっていたというBさん。
家事もできなくなるし、会話もできない。
話しかけられても、声を出したくなくて、低い声で、うん、と言うだけ。
何だかものすごく悲しくなって、涙が止まらないことも。
夫はそんなBさんを責めることもせず、家事が滞れば何も言わずに代わりにやってくれたそうですが、それさえも、家事をしない自分への当てつけと受け止めていました。
ある日、朝、目が覚めた瞬間からものすごく腹が立って、怒りが収まらなかったBさん。
何のきっかけもなく激怒するのはおかしいと思い、心療内科の受診を決意しました。
そもそもの不調のワケ
一番は心身ともに疲れていたこと。
下の子は障害があるため、1食1時間ほど、スプーンで食事を口に入れてあげなくてはいけません。
食事が終わって休憩したくても、抱っこしていなければずっと泣いています。
抱っこをし続けるか、泣き声をずっと聞いているので、ほとんど休憩にならず、とにかく疲れていました。
それでも、リフレッシュする場があれば、そんなにひどくはならなかったでしょう。
けれども、家の中では子どもから意識が離れませんし、家の外に出るときも、子どもと一緒。
夫は子どもの相手もしてくれましたが、二人とも相手をするのは大変で、どちらかはずっとBさんが相手をしていたので、子育てから意識が離せませんでした。
試したけれどうまくいかなかった対策
つらい状況を認識して、何とかしたいと思っていたBさん。
色々試しましたが、うまくいかなかったこともたくさんあったそうです。
カウンセリングを受ける
障害児の家族の心のケア、ということで、心理士によるカウンセリングを受けたBさん。
「話を整理しながら聞いてくれている感じはしたけれど、テクニックで聞かれている感覚が強く、友人に話した方が楽になれると思っていた」とのこと。
けれども、調子が悪くなると、自分から友人を誘うということはできず、調子が悪いときほど、一人で考え込んでばかりいました。
前回のインタビューで、Aさんはカウンセリングが非常に効果的だったと伺いましたが、Bさんはそうではなかったんですね。
自由時間をもらう
外の風に当たると気分が落ち着くBさんは、イライラすると、なるべく外の空気を吸うようにしていましたが、子どもを置いて長時間外に出るわけには行きません。
そこで、夫が帰宅してから、自由時間をもらい、外出することにしました。
読みたい本や携帯ゲームなどを持って、お酒を飲みに行ってみると、楽しい時間を過ごせました。
ところが、家のドアを開けて、一歩足を踏み入れた瞬間から、重苦しい気持ちに逆戻り。
せっかく夫に子どもを預けて自由時間をもらったのに、リフレッシュできないなんて申し訳ない、と、リフレッシュできなかったことが自分を責める要因になってしまいました。
考え方を変える
ユーチューブで自己啓発の動画を見て、考え方を変えてみようともしました。
でも、人に感謝することや、自分を許すこと、努力することなど、いいことだと思うのに、なかなかうまくできません。そんな自分を激しく責めてしまうので、疲れ果ててしまいました。
友人に相談する
友人へ話すと、同情してくれ、子育ての悩みを分かち合えました。
でも、悩みが緩和されはしても、次に頑張ろうと思えるほどにはなりませんでした。
子育て相談へ行く
保健師さんにメンタルの不調を打ち明けたところ、保健センターの無料の子育て相談を紹介されました。
無料なら、と参加してみると、相性がよかったのか、とてもすっきりしたそうです。
でも、人気があって予約は1カ月以上先。
それまで健やかな気持ちでいられる自信はなく、安心にはつながりませんでした。
心療内科の受診
頻度が少ないという不満はあったものの、子育て相談で医師に相談して効果を感じたBさんは、心療内科に行こうと決心しました。
それまでも夫に受診を勧められていたのですが、ためらっていた理由が3つありました。
それまでの経験上、カウンセリングの効果を期待できなかったこと
もともと薬が嫌いで、風邪薬もなかなか飲みたくないという主義のため、効果がでるまでの期間が長く、お金がかかりすぎるのではないかという不安。
それでも、母が元気であることが家族に一番大切、と自分に言い聞かせ、ついに予約をしました。
近所の心療内科を受診
長く通うなら近い方がいいかと、近所の心療内科を受診。
「うつは風邪みたいなものなので、調子が悪いなと思ったら、しっかり薬を飲んで、付き合っていけばいいと思いますよ」という説明をされ、感情の起伏を穏やかにする薬を処方されました。
薬を飲んだら見事に効いて、カッとなることがなくなったそうです。
薬を使わない心療内科を受診
薬の効果も感じてはいたものの、長期的に薬に頼りたくないという気持ちが強かったBさんは、知り合いに勧められた、薬を使わない方針だというクリニックを受診しました。
「虫歯になったら痛み止めを飲むのと同じように、薬は時には必要だけれども、根本的な解決にはならない。よかったら夫を連れてまた来て」と言われ、夫と再診。
夫も話に納得してくれました。
夫と話し合いをする中で、つらい原因を取り除くのではなく、自分で立ち向かう力が欲しいこと、そのために、一緒に同じ方向を向いて、背中を支えて欲しいことを伝えたBさん。
背中を支える方法については、話し始める頃はわかっていなかったけれども、ふと、体に触れて欲しいという気持ちが芽生えたので、試してみることにしました。
抱きしめられたら、ものすごくうっとうしい気持ちに。
握手をしたらもやっとした気持ち。
横になって二の腕と二の腕をくっつけたら、ものすごく安心しました。
それ以来、Bさんの精神安定剤は旦那さんの脇に寄り添うことだそうです。
Bさんの解決策、何だか微笑ましいですよね。
薬を飲んでもなかなかよくならなかったのに、旦那さんに寄り添うことで改善するなんて不思議です。
逆に、そんな風に落ち着ける旦那さんがいても、こんなにメンタルが弱ってしまうことがあるというのも驚き。
Bさんの試行錯誤が、読者のヒントになるとよいなと思います。
すぎラボライター ヤリタガリ
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