中瀬中学校 意見交換会(6年3月6日)
子ども条例を学び、意見を届けよう!
中瀬中学校では、SDGsが掲げるさまざまな目標にからめた事柄を異学年のグループワークを取り入れて学んでいます。一方で杉並区は、当事者となる子どもの意見や思いを大切にしながら「(仮称)杉並区子どもの権利に関する条例」をつくろうとしています。今回は、「全ての人に健康と福祉を」「平和と公正を全ての人に」などのテーマにからめて、子どもに関する条約や法律、条例でどのような権利が保障されているかなどを学んだ上で、身の回りの「子どもの権利」について考え、異学年のグループワークで自由に意見を出し合いました。
はじめに…
冒頭に、今回の意見交換会のテーマや趣旨について校長から、「世界には貧困や戦争により苦しむ子どもたちがたくさんいて、日本でも年間19万件の虐待が発生しています。自分にはあまり関係が無い話かもと思うかもしれませんが、自分がしあわせなら他の人のしあわせを考えなくても良いのでしょうか。これまでみなさんは異学年のグループワークでSDGsについて学び、『みんなのしあわせ』を考えてきました。SDGsの目標は『子どもの権利』と重なるものも多いです。杉並区では『子どもが安心して過ごしていけるまち』を目指し、条例をつくるために子どもの意見を聴く取り組みを進めています。今日、みなさんからよい意見が出れば、それが条例に生かされ、杉並区が未来の子どもにとってよいまちとなります。杉並区が条例をつくる手助けになるような意見を出してほしい!」というお話がありました。
今日の目標とスケジュールを確認しよう!
グループワークに先立ち、今日の目標とスケジュールについてファシリテーター(注)から、「今日の授業では、みなさん一人一人が『自分たちが認められていると感じていること』『認められたいと感じること』を自分の言葉にできることを目指します。そのために、中瀬中学校の学校運営協議会委員の方から、『子どもが持っているさまざまな権利』についてお話を聞いた上で、1年生から3年生までの生徒のグループの中で意見を交換してほしい。」というお話がありました。
(注)ファシリテーター:会議などで中立的な立場に立った上で会議中に発せられた意見をまとめ、より良い結論に導く役割を担う人
学校運営協議会委員から
まず、学校運営協議会委員から、今日の意見交換を行う基本としてわかってほしいこととして、次の4つのお話がありました。
- 全ての人は、生まれたときから「自分らしく生きる権利」があり、人間としての権利(人権)を持っている。
- 「人権」とは、「人としてあたりまえに認められるべきもの」である。
- 「子どもの権利」は全ての子どもたちが心も身体も健康で、自分らしく育つために必要とされている権利である。
- 子どもが大人へと成長するまでに、年齢に応じた保護や配慮が必要な面もあるため、こどもならではの権利も必要である。
こども基本法が掲げる6つの考え方
続けて、「こども基本法」が掲げる6つの大切な考え方についてお話がありました。
- 全てのこどもが大切にされ、基本的な人権が守られ、差別されないこと。
- 全てのこどもが大事に育てられ、生活が守られ、愛され、保護される権利が守られ、平等に教育を受けられること。
- 全てのこどもが、年齢や成長の程度に合わせて、自分に直接関係することに意見を言えたり、さまざまな活動に参加したりできること。
- 全てのこどもの意見が年齢や成長の程度に合わせて、大事にされ、こどもの今とこれからにとって最もよいことが優先して考えられること。
- 子育てをしている家庭のサポートが十分に行われること、家庭で育つのが難しいこどもに家庭と同じような環境が用意されること。
- 家庭や子育てに夢を持ち、喜びを感じられる社会をつくること。
終わりに…
最後に、学校運営協議会委員からこんなお話がありました。
みなさんはかけがえのない存在です。これからの社会を担っていく、大人になっていく上で「こんな社会だったらいいな」「こういう子ども社会をつくりたいな」。そんな今のみなさんの声をぜひ聴かせてください。それを杉並区に届けましょう!
自分の身の回りの権利について考えてみよう!
生徒たちは子どもの権利について知った上で、今度は身の回りの権利について考えました。こども基本法が大切にする6つの考え方が自分やクラスメイト、近所に住む友達などの「子ども」にとって10段階中でどれくらい認められているか、ワークシートに自らの考えを書き起こしました。そして、各グループで話し合いが始まると、生徒たちからは理由も合わせてさまざまな意見が出てきました。
生徒たちから出た意見
こども基本法の考え方1について
- 先進国では子どもは大切にされて人権が守られていると思うけど、途上国では子どもが兵に出されたり仕事のために学校に行けないことが多い。
- 虐待を受けてた子どものニュースを見ると、子どもたち全員の人権が守られているとまでは言えないと思う。
こども基本法の考え方2について
- 学校に行こうと思ったら行けるし、多くの人が安定して生活できていると思う。
- 自分が産んだ子どもを大切に育てることは当たり前だと思う。それでも離婚率が上昇したり虐待の件数が増加したり、子どもにとってのしあわせが無くなってしまうことが多い気がする。
こども基本法の考え方3について
- 自分の意見を言える状況であっても、くだらないと言われたりして意見が通らなかったりする。
- 中瀬中学校には生徒から出た意見が認められる場があるけど、学校外では、大人は絶対みたいな風潮が残っているように感じるときもある。
こども基本法の考え方4について
- 家族は、自分がやりたいことを優先して考えてくれていて不自由がないと感じている。
- 中瀬中学校では、自分たちで話し合って校則などを決めることができている。
こども基本法の考え方5について
- サポートセンターなどの相談機関が最近は充実していると思う。
- 少子化が進んでいるということは、子育てに関するサポートがまだ十分ではないと思う。
こども基本法の考え方6について
- 自分の親だけではなく、地域の人に頼って子どもを育てることができると思う。一方で、子どもの出生率が下がっているのは、世の中が子どもを育てにくい状況になっているからとも思う。
- 子育てをするためにはお金の問題が大きいと思うから、補助金などの支援をもっとしてほしい!
意見交換会を振り返って…
意見交換会の振り返りをする中で、あるグループからこんな話がでてきました。
全ての子どもの権利が尊重されることは難しいことだけど、まずは中瀬中学校のみんなの権利が守られるように、お互いに思いやりの気持ちを持って学校生活を送りたい。
全ての子どもたちの権利が保障され、生活が守られるためには、国や地域、そしてそれぞれの家庭で子どもの権利が尊重され、実現されるような取り組みがこれからも必要です。それでも、学年の垣根を越えて積極的に議論する生徒たちからは、まずは自分たちができることから身の回りの子どもの権利を守り実現していきたいという思いを感じることができました。
生徒たちは、子どもの権利について自分ごととして考え「中瀬中学校の一人一人がかけがえのない存在であり守られるべき権利を持っている」ことを実感しているようでした。「生徒主体の中瀬中」「異学年のグループワークの中瀬中」。中瀬中学校が目指す学校の姿を改めて感じることができました。
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