永福小学校 意見交換会(5年12月5日)
今回は、子どもの権利擁護に関する審議会で会長を務める、東京経済大学の野村武司教授による出前授業が行われました。永福小学校を会場に、子どもたちは出前授業から「子どもの権利とはどんなことか」を学んだ上で、「子どもにやさしいまちって、どんなまち?」「好きな場所って、どんなところ?」2つのテーマについて意見を出し合いました。
第1部 出前授業「子どもの権利について考えてみよう!」
会場の体育館には、永福小学校の子どもたちと区職員、子どもの権利擁護に関する審議会委員など100人を超える人が集まりました。今回の意見交換会は二部制で開催され、第一部では野村教授による出前授業「子どもの権利について考えてみよう!」が行われました。
「権利」って何だろう?
出前授業の冒頭では、「権利」という言葉の意味について考えました。野村教授から「権利って何だかわかりますか?」という問いかけがあると、子どもたちは「権利」について少し考えてみました。これまで何気なく耳にしてきた言葉ですが、改めて考えてみるとなかなか「権利」という言葉の意味が思い浮かびません。すると野村教授から「権利は、当たり前すぎてすぐには思いつかないけど、これがないと困ってしまう大切なものです。」というお話がありました。
子どもがもつ4つの権利
権利とは、「人が当たり前に生きていくために大切なもの」ということが分かりました。その上で、今度は子どもの権利条約にある「子どもがもつ4つの権利」について考えてみました。野村教授が「4つの権利にはどんな権利があると思う?」と問いかけると、子どもたちからさまざまな権利が出てきました。
子どもがもつ4つの権利
子どもたちから出てきた権利
- 食べる権利
- 寝る権利
- 遊ぶ権利
- 愛される権利
子どもがもつ4つの権利と、大人が子どもと約束していること
子どもたちからさまざまな権利が出てくると、野村教授はお話を続けました。
子どもがもつ4つの権利には、「生きる権利」「育つ権利」「参加する権利」「守られる権利」があります。また、子どもの権利を守るために、大人は子どもに対して「子どもの命を守り、生きること・成長することを保証する。」「子どもにとって最もよいことを考える。」「子どもの意見を尊重する。」「子どもを誰ひとり取り残さない。」ことなどを大切にし、約束しています。
このような野村教授のお話に真剣に耳を傾けながら、「子どもの権利」について考える子どもたちの様子を見ることができました。
杉並区子どもの権利条例について
「子どもの権利」について知った上で、今度は、野村教授から杉並区で検討している子どもの権利条例についてお話がありました。「そもそも…条例って何だろう?」という問いかけがあると、ある児童から「地域によって違うルール」と答えが返ってきました。
すると野村教授は「条例は杉並区のような自治体がつくった決まり」と説明し、続けて「みんなの身の周りにある決まりは何かな?」と尋ねると、子どもたちから次々と身の回りの「決まり」が出てきました。
子どもたちの身の回りの「決まり」
- 廊下を走ってはいけない
- 赤信号を渡ってはいけない
- 部屋の中でごみを置きっぱなしにしない
出前授業の最後に、野村教授からこんなお話がありました。
みなさんからたくさん「決まり」が出てきました。「決まり」とは「してはいけないこと」ばかりでしょうか。現在、杉並区がつくろうとしている子どもの権利条例は、杉並区が「子どもにやさしいまち」になるために大人が子どもに約束する決まりごとです。そして、この条例をつくるために、今日は実際に永福小学校のみんなの意見を聴かせてください。
第2部では、4人から5人のグループをつくり、各グループごとに「子どもにやさしいまちってどんなまち?」「安心できる場所ってどこだろう?」2つのテーマについて議論します。
第2部 グループワーク
野村教授の授業で「子どもの権利」について学んだ上で、今度は各グループで2つのテーマについて、大人も加わりながら意見を出し合いました。
(テーマ1)子どもにやさしいまちって、どんなまち?
(テーマ2)好きな場所って、どんなところ?
「好きな場所って、どんなところ?」をテーマにしたグループでは、家の台所や公園、身動きができる狭いところなど、子どもたちが思い思いに「好きな場所」について意見を出し、メンバー同士で共有しました。一方で、「子どもにやさしいまちって、どんなまち?」をテーマにしたグループではこんな議論が行われました。
「やさしい」ってどういうことだろう?
「子どもにやさしいまちってどんなまち?」について議論したグループでは、初めに「自分がやさしいと思う人(やキャラクター)」を思い浮かべながら、「やさしい」とはどういうことか30秒間考えました。すると、子どもたちから次々と「やさしいと思う人」や「やさしさを感じた場面」が出てきました。
子どもたちから出てきた意見
- 人を嫌な気持ちにさせないこと
【理由】(相手を嫌な気持ちにさせないために)話し言葉に気を使っている人はやさしいと思う。クラスのみんなはやさしい! - 協力してくれたり、助けてくれたりする人
【理由】テストで消しゴムを忘れた時に友達が貸してくれたことがあって、やさしいなあと感じた。焦って不安な気持ちの時に助けてくれる人はやさしいと思う。 - 間違っても許してくれる人
【理由】ただ怒るんじゃなくて、反省して次に生かすチャンスをくれると頑張れる。永福小学校はそんな先生が多い!
永福は「子どもにやさしいまち」かな?
議論が深まると、「やさしい人」がたくさん集まると、そのまちが「やさしいまち」になるという考えにたどり着きました。その上で、永福が「やさしいまち」かどうか尋ねると、子どもたちは元気に「うん!」と頷きました。そして、子どもたちはさまざまな視点から「永福にやさしい人がたくさんいること」や「永福がやさしいまちであること」を話してくれました。
子どもたちから出た意見
- 交通事故が少ない
【理由】交通事故が起きてしまうと誰かが傷ついてしまう。交通事故が少ないのは、みんなが誰かを傷つけないように思いやりながらルールを守って運転しているからだと思う。 - 道に迷っていると声をかけてくれる人が多い
【理由】桜上水駅で道に迷っていると、通りすがりの人が目的の場所まで案内してくれることが多い。見ず知らずの子どもを気にかけてくれてうれしかった。 - 怪我しやすい遊具が少ない
【理由】ジャングルジムとか高いところに行ける遊具がなくなった。遊具で怪我する心配がないから、子どもにやさしいと言えると思う。
永福がもっと「やさしいまち」になるために、どんなことができるかな?
グループワークの最後には、永福がもっと「やさしいまち」になるために自分たちでできることはないか考えました。
子どもたちから出てきた意見
- 困っている人がいたらすぐに助ける。
- 一人一人が、年齢に関係なく誰に対しても思いやりをもって行動する。
- 基本的なルールを守る。歩道の自転車走行や違法駐輪など守っていない人がいたら注意する。
- 自分がされて嫌なことは人にはしない。もしも嫌なことをしている人がいたら注意する。
- 親や先生にいつでも助けを求めることができ、またいつでも電話で相談ができるまちにしたい。
意見交換会を振り返って…
グループワークでは、子どもたちからさまざまな意見が出てきました。そして、子どもたちみんなが周囲の人への気遣いを大切にしていることがわかりました。困っている人がいれば助け、人が嫌がることはしないことなどが「やさしいまち」には必要であり、永福にはそれができる人が多い。このように子どもたちは自信をもって話してくれました。そんな様子から、永福小学校の子どもたちが「やさしいまち」をつくる大事な一人であると感じることができました。
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