杉並名誉区民
小柴 昌俊(こしば まさとし)
物理学者
大正15年(1926年)9月19日 生まれ
岐阜県神岡鉱山においてカミオカンデ装置を使った実験を行い、昭和62年(1987年)2月に世界で初めて16万光年のかなたにある超新星からのニュートリノ(素粒子の1つ)を観測することに成功。その後、スーパーカミオカンデ実験など先駆的な研究により平成14年(2002年)にノーベル物理学賞を授与される。
令和2年11月12日逝去(享年94歳)
山彦 節子(やまびこ せつこ)
河東節(かとうぶし)浄瑠璃奏者
(本名:小林 峯子)
大正9年(1920年)2月7日 生まれ
江戸時代に起源を持ち、江戸風の渋味と温雅さ、格調の高さが特徴とされる、河東節浄瑠璃の技芸総代。河東節のわざを高度に体現しているとして、平成6年(1994年)に重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定される。
平成30年10月30日逝去(享年98歳)
二十二世 金春 惣右衛門(こんぱる そうえもん)
能囃子方 太鼓
(本名:金春 惣一)
大正13年(1924年)9月22日 生まれ
能楽の器楽的要素を担当する囃子方太鼓金春流の二十二世宗家。日本古来の伝統芸能である能楽の継承、発展に尽力し、囃子方太鼓のわざを高度に体現しているとして、平成4年(1992年)に重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定される。
平成26年3月11日逝去(享年89歳)
安福 建雄(やすふく たつお)
能囃子方 大鼓
昭和13年(1938年)11月14日 生まれ
能楽の器楽的要素を担当する囃子方大鼓高安流の宗家預かり。流派中興の祖といわれる父、安福春雄(重要無形文化財保持者)に師事する。囃子方大鼓のわざを高度に体現しているとして、平成10年(1998年)に重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定される。
平成29年7月17日逝去(享年78歳)
佐々木 苑子(ささき そのこ)
染織作家
昭和14年(1939年)7月4日 生まれ
20歳代半ばより染織の道を志し紬織の技法及び表現の可能性を広げ、芸術的価値を高めたものとして評価されている。日本伝統工芸展で受賞を重ね、伝統的な紬織の技法を高度に体得したとして平成17年(2005年)に重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定される。
石井 桃子(いしい ももこ)
児童文学者
明治40年(1907年)3月10日 生まれ
児童文学の第一人者であり、著書「ノンちゃん雲に乗る」で、第1回芸術選奨文部大臣賞を受賞。作家活動のほかに「クマのプーさん」をはじめ、多くの作品を編集、翻訳によって紹介するなど、日本の児童文学発展の大きな礎を築く。自宅に「かつら文庫」を開設し、家庭文庫普及の先駆けとしても活躍された。
平成20年4月2日逝去(享年101歳)
遠藤 実(えんどう みのる)
作曲家
昭和7年(1932年)7月6日 生まれ
日本を代表する大衆音楽の作曲家。「星影のワルツ」、「せんせい」、「北国の春」など多くのヒット曲を生む。永年にわたる幅の広い作曲活動により、国民に希望と潤いを与えたとして、平成21年(2009年)に国民栄誉賞を贈呈される。昭和57年(1982年)に区制施行50周年を記念して制定された杉並区歌及び杉並音頭の作曲者としても、区になじみが深い。
平成20年12月6日逝去(享年76歳)
速水 融(はやみ あきら)
社会経済学史学者
昭和4年(1929年)10月22日 生まれ
経済学博士として大学で教鞭をとり、日本経済史、近世日本経済史等の専門課程を担当する傍らヨーロッパにて歴史人口学を研究し、新しい近世日本の社会経済史像の確立に成功。その功績が高く評価され、平成21年(2009年)に文化勲章を授与される。
令和元年12月4日逝去(享年90歳)
四世 山本 東次郎則壽(やまもと とうじろうのりひさ)
能楽狂言方 大蔵流
(本名:山本 東次郎)
昭和12年(1937年)5月5日 生まれ
狂言大蔵流山本東次郎家の四世として、天性の端麗さを加えた円転滑脱な独自の境地を確立する。江戸の武家の式楽としての狂言の技法を高度に体現しているとして、平成24年(2012年)に重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定される。
野村 幻雪(のむら げんせつ)
能シテ方 観世流
(本名:野村 四郎)
昭和11年(1936年)11月27日 生まれ
狂言方和泉流六世野村万蔵の四男として生まれ、幼少期は父に師事する。
15歳でシテ方二五世観世宗家観世元正に入門、19歳で初舞台「俊成忠度」を踏み、着実に芸歴を重ね、端正優美とされる観世流を代表する能楽師の一人として卓越した技量を示す。近年においても現行演出の見直しや、他分野の芸術家と協力して新作を世に出すなど、意欲的な活動を継続している。
伝統的な能シテ方の技法を高度に体現し、能楽の発展及び後進の指導・育成にも尽力してきたとして、平成28年(2016年)に、重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定される。
令和3年(2021年)に永年の功績により、観世流において命名される「雪」を用いた雪号を授与され、野村幻雪と雅号を成す。
令和3年8月21日逝去(享年84歳)
芝 祐靖(しば すけやす)
雅楽演奏家
昭和10年(1935年)8月13日 生まれ
南都(奈良)系の楽人の家に生まれ、宮内庁楽師として宮中儀式などの演奏に携わるだけでなく、新たな作曲も手がけた。
宮内庁を退職後は、雅楽演奏グループ「伶楽舎(れいがくしゃ)」を結成し音楽監督として、古典雅楽のほか現代雅楽、現代邦楽などの作曲・演奏、海外での音楽祭への参加や演奏ツアーを重ね、雅楽を通して日本の音楽文化を海外に発信した。
雅楽の演奏家として優れた演奏活動を展開するにとどまらず、新たな創作や雅楽廃絶曲の復興にも意欲的に取り組んで多くの成果を挙げ、現代に生きる芸術としての雅楽の可能性を世に示すとともに、後進の育成にも尽力してきた功績が高く評価され、平成29年(2017年)に文化勲章を授与される。
令和元年7月5日逝去(享年83歳)
近藤 淳(こんどう じゅん)
物理学者
昭和5年(1930年)2月6日 生まれ
物性物理学の分野において長年解明されていなかった、極低温領域での微量の磁性分子を含む金や銅などの電気抵抗の異変について、その原因を理論的に解明し、この現象は「近藤効果」と呼ばれている。
「近藤効果」の理論は、さまざまな物理現象に関わることが判明し、金属内多電子系についての根本問題の提起として世界的に知られ、金属理論の発展に多大な影響を与えた。さらには、量子ドットやスピントロニクスなどのデバイス分野でもその重要性が認識されている。このような功績が高く評価され、令和2年(2020年)に文化勲章を授与される。
令和4年3月11日逝去(享年92歳)
久保田 淳(くぼた じゅん)
日本文学者
昭和8年(1933年)6月13日 生まれ
古典全般にわたる深く広い教養に裏付けられた斬新で信頼できる作品分析を特徴とする顕著な研究業績により、日本文学の発展に多大な貢献をした。
『新日本古典文学大系』全百巻など多くの重要な作品、辞典の出版に参画し、日本文学研究全体の高度化と普及に寄与した。とりわけ、独力で企画・監修している『和歌文学大系』は和歌文学研究の金字塔と評価されている。
執筆活動にも積極的に取り組み、魅力的な作品を刊行するなど、日本文学の発展に大きく貢献した功績が評価され、令和2年(2020年)に文化勲章を授与される。
別府 輝彦(べっぷ てるひこ)
発酵学・応用微生物学研究者
昭和9年(1934年)3月9日 生まれ
発酵学の分野において、広範な探索により微生物に由来するさまざまな新しい物質・現象を発見・解明する一方、遺伝子組換え技術を利用して動物由来の有用酵素の生産を実現するなど多数の先駆的研究成果を上げ、発酵学の発展に多大な貢献をした。
特に、チーズ製造に実用される仔牛の第四胃で生産・分泌される凝乳酵素「キモシン」の遺伝子を、大腸菌に組み込み生産したことは、食品製造に遺伝子組換え技術を適用した世界初の例として画期的である。
微生物学の基礎から応用にいたる幅広い分野において優れた業績を上げ、発酵学・応用微生物学の発展に大きく貢献した功績が評価され、令和4年(2022年)に文化勲章を授与される。
令和5年11月10日逝去(享年89歳)
岩井 克人(いわい かつひと)
経済学者
昭和22年(1947年)2月13日 生まれ
マクロ経済学の研究において、経済を安定した長期均衡の状態ではなく、不均衡状態の連鎖として捉える不均衡動学の構築に力を入れ、インフレやデフレが続くメカニズムや、市場原理に従わない政府の存在が社会の安定に必要と唱える不均衡動学理論を確立したほか、シュンペータ動学モデル、貨幣の自己循環理論の構築、さらには株式会社(法人企業)が「ヒト」と「モノ」の二階建ての所有構造となっていることを示し、新たな法人論を展開するなど多くの独創的な研究成果を挙げる。
経済学理論、さらに近隣社会科学への貢献はきわめて根源的かつ独創的であり、社会に対する経済学の総合的理解の促進への貢献も含めた功績が評価され、令和5年(2023年)に文化勲章を授与される。
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