令和6年意見書・決議等
国際社会と将来世代に1.5℃目標の責任を果たす第7次エネルギー基本計画改定を求める意見書
議決年月日:令和6年12月9日
提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、経済産業大臣、環境大臣
国際社会と将来世代に1.5℃目標の責任を果たす第7次エネルギー基本計画改定を求める意見書
2024年7月は、日本は観測史上最も暑い夏を経験しました。年々、国内で豪雨や熱中症での被害が増大し、気候危機は環境問題のみではなく生存権に関わる人権問題となっています。安全保障のためにもエネルギーの自給自足が重要視されるようになってきました。2023年の気温上昇はすでに1.45℃であり、今の対策のままでは今世紀中に2.7℃前後まで上昇してしまうと予測されます。COP28で2035年までに温室効果ガス排出量を2019年比で60%削減する必要があるとの国際合意の中、日本政府は第7次エネルギー基本計画改定の議論をスタートさせました。しかし、現状では日本政府の気候危機対策は、1.5℃目標に貢献することができず、日本が国際的に気候変動政策において世界をリードすることが難しくなってきています。1.5℃目標へ向けて国際社会と将来世代に責任を果たすため、また、持続可能な経済基盤を再構築するため、杉並区議会は国会と政府に対し、第7次エネルギー基本計画改定に際して、以下の事項を求めます。
記
【1】COP28での国際合意で2025年2月までに各国の新たなNDC(国が貢献する決定)の提出が義務付けられている。日本政府は期限までに2035年と2040年の温室効果ガス削減目標について、1.5℃目標との整合性を示すこと。
【2】1.5℃目標について:政府は、第6次エネルギー基本計画において「2℃以下、1.5℃へ努力する」と記しているが、第7次エネルギー基本計画の策定に際し1.5℃を確実に目指すこと。
【3】「再エネ3倍」について:
1)COP28の合意に基づき2030年の再エネの設備容量の目標を3倍とし、可能な限り再生可能エネルギーの普及に努めること。
2)再エネ拡大のための優先接続制度、フレキシビリティ確保のための仕組みや電力系統の拡充に努めること。
3)ペロブスカイトや洋上風力等の近い将来必要な技術の支援と実証への努力を。
【4】「省エネ2倍」について:日本のエネルギー消費に占める建築物(業務部門と家庭部門)の割合は3割である。
1)2030年よりも前倒しでZ E H ・Z E Bの努力義務化を目指すこと。
2)消費者が賢く電力使用量を制御することで、電力需給バランスを調整するための仕組み・DR(デマンド・リスポンス) の活用策等の制度整備を推進すること。
【5】石炭火力について:2024年のG7の共同声明の合意に基づいて、2030年代前半までに段階的に石炭火力を廃止すること。
【6】炭素税について:IEAなど国際機関の提言に沿うカーボンプライシングを。
【7】原発について:能登半島地震の教訓や今後起こりえる南海トラフ地震のリスクを踏まえ、地震大国である日本の原発の利用は、再エネの利用拡大状況を見ながら長期的に低減していくこと。
【8】COP28では、気候変動による「損失と損害」に対する途上国支援の基金が設立されたが、基金に対する日本の拠出額はドイツやUAEの10分の1に止まっていることからも、支援の拡大に努めること。
【9】決定プロセスについて: 気候危機は若い世代ほど被害の影響が拡大することが想定されている。それゆえ世界的に若い世代への気候不安症が広がっていると指摘されている。
1)若い世代を決定プロセスに参加させること。
2)全国的な気候市民会議の開催を打ち出すこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年12月9日
杉並区議会議長 井口 かづ子
固定資産税及び都市計画税の軽減措置の継続を求める意見書
議決年月日:令和6年10月16日
提出先:東京都知事
固定資産税及び都市計画税の軽減措置の継続を求める意見書
長期に及んだコロナ禍の影響に加え、諸物価の高騰、極端な円安、株価の騰落等により、多くの事業者は、業種・業態、規模の大小、法人・個人事業者を問わず、売上の激減、収益の悪化、顧客離れ等に見舞われ、未だに事業の存続の危機に直面し、更には倒産や廃業の危機に晒されている。また、雇用不安の拡大や後継者不足など様々な問題を抱える小規模事業者を取り巻く環境は、コロナ禍前にもまして、厳しく深刻な状況にある。
こうした状況のもと、昭和63年度に創設された「小規模住宅用地に対する都市計画税を2分の1とする軽減措置」、過重な負担の緩和と中小企業の支援を目的として平成14年度に創設された「小規模非住宅用地に対する固定資産税及び都市計画税を2割減額する減免措置」、負担水準の不均衡の是正と過重な負担の緩和を目的として平成17年度に創設された「商業地等における固定資産税及び都市計画税について、負担水準の上限を65%に引き下げる減額措置」については、多くの小規模事業者のみならず区民が適用を受けている。
都独自の施策として定着しているこれらの軽減措置が廃止されることになると、小規模事業者の経営や生活は、更に厳しいものになり、ひいては地域社会の活性化のみならず、日本経済の回復に大きな影響を及ぼすことにもなりかねない。
よって、杉並区議会は、東京都に対し、下記の事項を強く求めるものである。
記
1 小規模住宅用地に対する都市計画税を2分の1とする軽減措置を、令和7年度以降も継続すること。
2 小規模非住宅用地に対する固定資産税及び都市計画税を2割減額する減免措置を、令和7年度以降も継続すること。
3 商業地等における固定資産税及び都市計画税について、負担水準の上限を65%に引き下げる減額措置を、令和7年度以降も継続すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
令和6年10月16日
杉並区議会議長 井口 かづ子
アメリカ合衆国の核実験の強行に抗議し、 すべての核実験の停止を求める要請書
提出先:アメリカ合衆国大統領 ジョー・バイデン 閣下
アメリカ合衆国の核実験の強行に抗議し、すべての核実験の停止を求める要請書
この度、貴国がネバダ州の核実験場において、5月14日に核爆発を伴わない臨界前核実験を実施したとの報道に接しました。
貴国の核実験については、これまでも再三にわたり即時停止を求めてきたにもかかわらず、再び同様の核実験が行われたことは、極めて遺憾であります。
杉並区議会は、本区が原水爆禁止署名運動発祥の地であり、世界の恒久平和と核兵器の廃絶を願い「平和都市宣言」を議決している立場から、あらゆる核実験に抗議してきました。
核兵器の存在しない平和な世界は、杉並区民のみならず、人類共通の願いであり、一日も早い実現が望まれています。
杉並区議会は、貴国の度重なる核実験に強く抗議し、改めて、今後一切の核実験の計画を即時中止することを、強く求めるものであります。
2024年5月20日
杉並区議会議長 井口 かづ子
子どものために保育士配置基準の引き上げと労働条件改善による保育士の増員を求める意見書
議決年月日:令和6年3月18日
提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、内閣府特命担当大臣(こども政策)、こども家庭庁長官、文部科学大臣、財務大臣
子どものために保育士配置基準の引き上げと労働条件改善による保育士の増員を求める意見書
保育所は、子育て家庭を支える施設であり、幼い子どもの発達を保障し、いのちを守るための不可欠な社会資源になっています。
保育所の機能拡充が進む一方で、職員配置や施設基準の改善は進まず、国際的にも低い水準のまま放置され、職員の負担が増大しています。保育所での事故が増大している状況などを踏まえれば、現在の配置基準は不十分であり、子どもの命と安全を守るためにも保育士の増員が急務となっています。
政府は、国が直面する最大の危機である少子化を反転させるとして「こども未来戦略方針」を2023年6月13日に閣議決定しました。その中で、「75年ぶりの配置基準改善」として、1)1歳児の子ども6人に対し保育士1人の基準を5対1にする、2)4・5歳児の子ども30人に保育士1人の基準を25対1に改善することが盛り込まれました。
この内容を踏まえ、国におかれては、必要な財源を確保し、下記の事項について実現されるよう、強く要望します。
記
1 「こども未来戦略方針」に示した配置基準の改善を速やかに実施すること。
2 配置基準の改善は、対象が限定される公定価格での加算対応でなく、基準の改定で実施すること。
3 国際的な水準を踏まえ、さらなる配置基準の引き上げに着手すること。
4 保育士不足の状況を鑑み、各職場で増員が図れるようにするために保育士等の賃金を引き上げることをはじめとした労働条件の改善のために必要な措置をとること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
令和6年3月18日
杉並区議会議長 井口 かづ子
パレスチナ自治区ガザ地区における人道目的の停戦等の実現に関する決議
議決年月日:令和6年1月25日
パレスチナ自治区ガザ地区における人道目的の停戦等の実現に関する決議
イスラエルとパレスチナのイスラム組織ハマスの軍事衝突により、パレスチナ自治区ガザ地区において、尊い人命が深刻な危機的状況にさらされるとともに、市街地に甚大な被害をもたらしている。
よって、杉並区議会は、イスラエルとハマスの双方をはじめとする全ての当事者及び国際社会に対し、一刻も早い事態の解決に向けて、次の事項を実現するよう強く求めるものである。
1 人道目的の停戦及び人質の即時・無条件の解放
2 国際人道法を含む国際法の遵守
3 民間人の被害の最小化、人道支援物資の供給を通じた人道危機の改善
以上、決議する。
令和6年1月25日
杉並区議会
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