令和5年意見書・決議等
消費者被害を防止、救済するため特定商取引に関する法律の抜本的改正を求める意見書
議決年月日:令和5年12月6日
提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)、総務大臣、経済産業大臣
消費者被害を防止、救済するため特定商取引に関する法律の抜本的改正を求める意見書
特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」という。)の平成28年改正の際、附則においていわゆる5年後見直しが定められ、令和4年12月で同改正法の施行から5年が経過した。
令和5年版消費者白書によると、消費生活相談は87万件で、ここ15年ほど高止まりが続いており、特定商取引法の対象分野の相談は全体の約55%に上る。そして、特定商取引法の対象取引分野のうち訪問販売、電話勧誘販売、インターネット通販以外の通信販売及び訪問購入については、70歳以上の相談の割合は、他の年齢層と比べて高くなっている。さらに、認知症等の高齢者においては、全体の相談件数のうち、訪問販売・電話勧誘販売の相談が46.1%を占めており、高齢化社会が進む中、高齢者が悪質商法の標的にされないよう早急な対応が必要である。
また、同白書によると、インターネット通販に関する相談が世代全体の29.1%と最多となり、トラブルが増加しているが、事業者や勧誘者を特定できない事例も多い。マルチ取引は、20歳代において高い比率を占めており、令和4年4月の成年年齢の引下げにより、18歳から19歳を狙ったマルチ取引被害の増加が予想される。
よって、これらの消費者被害に対処するため、杉並区議会は、国に対し、以下の事項について特定商取引法の改正を行うよう求めるものである。
1 訪問販売や電話勧誘販売について、消費者があらかじめ拒絶の意思を表明した場合には勧誘してはならない制度とすること及び事業者の登録制を導入すること。
2 SNS等のインターネットを通じた通信販売の勧誘等につき、行政規制、クーリング・オフ等を認めること及び権利を侵害された者はSNS事業者等に対し、相手方事業者等を特定する情報の開示を請求できる制度を導入すること。
3 連鎖販売取引について、国による登録・確認等の開業規制を導入すること及び規制を強化すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
令和5年12月6日
杉並区議会議長 井口 かづ子
オウム真理教後継団体(Aleph(アレフ)・ひかりの輪・山田らの集団)に対する公安調査庁による観察処分の期間更新を求める意見書
議決年月日:令和5年10月16日
提出先:法務大臣、公安調査庁長官、公安審査委員会委員長
オウム真理教後継団体(Aleph(アレフ)・ひかりの輪・山田らの集団)に対する公安調査庁による観察処分の期間更新を求める意見書
オウム真理教は、地下鉄サリン事件をはじめとする数多くの凶悪な犯罪を実行した団体であり、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(以下「団体規制法」という。)に基づき、観察処分を受けている。
現在も、後継団体の「Aleph(アレフ)」「ひかりの輪」「山田らの集団」(以下「オウム真理教後継団体」という。)が活動を継続しており、社会的な不安は残ったままである。
このような状況の中、来年1月には、オウム真理教後継団体に対する団体規制法に基づく公安調査庁の観察処分の期間が満了を迎えようとしている。
万が一、この観察処分が更新されなければ、オウム真理教後継団体の活動内容が一切明らかにされず、区民の不安が高まることが懸念される。
よって、杉並区議会は政府に対し、オウム真理教後継団体を引き続き観察処分とすることを強く求めるものである。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
令和5年10月16日
杉並区議会議長 井口 かづ子
固定資産税及び都市計画税の軽減措置の継続を求める意見書
議決年月日:令和5年10月16日
提出先:東京都知事
固定資産税及び都市計画税の軽減措置の継続を求める意見書
長期に及ぶコロナ禍の影響により、区内の事業者は、規模や業種を問わず収益の悪化などに見舞われ、未だに事業存続の危機に直面している。以前より小規模事業者を取り巻く環境は、雇用不安の拡大や後継者不足などさまざまな問題を抱え、コロナ禍前にもまして、厳しく深刻な状況にある。また、小規模事業者のみならず多くの区民は、諸物価の高騰などにより負担が増している。
こうした状況のもと、昭和63年度に創設された「小規模住宅用地に対する都市計画税を2分の1とする軽減措置」、過重な負担の緩和と中小企業の支援を目的として平成14年度に創設された「小規模非住宅用地に対する固定資産税及び都市計画税を2割減額する減免措置」、負担水準の不均衡の是正と過重な負担の緩和を目的として平成17年度に創設された「商業地等における固定資産税及び都市計画税について、負担水準の上限を65%に引き下げる減額措置」については、多くの小規模事業者のみならず区民が適用を受けている。
都独自の施策として定着しているこれらの軽減措置が廃止されることになると、小規模事業者の経営や生活は、更に厳しいものになり、ひいては地域社会の活性化のみならず、日本経済の回復に大きな影響を及ぼすことにもなりかねない。
よって、杉並区議会は、東京都に対し、下記の事項を強く求めるものである。
記
1 小規模住宅用地に対する都市計画税を2分の1とする軽減措置を、令和6年度以降も継続すること。
2 小規模非住宅用地に対する固定資産税及び都市計画税を2割減額する減免措置を、令和6年度以降も継続すること。
3 商業地等における固定資産税及び都市計画税について、負担水準の上限を65%に引き下げる減額措置を、令和6年度以降も継続すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
令和5年10月16日
杉並区議会議長 井口 かづ子
適格請求書等保存方式(インボイス制度)の実施延期を求める意見書
議決年月日:令和5年6月19日
提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、経済産業大臣
適格請求書等保存方式(インボイス制度)の実施延期を求める意見書
長年、デフレが続く我が国において、新型コロナウイルスは経済にさらなる打撃を与え、その回復の見通しが立たない中、コストプッシュによる物価上昇も加わり、地域経済は一層疲弊している。そうした状況下で、令和5年10月から適格請求書等保存方式(インボイス制度)が開始される予定である。
適格請求書(インボイス)を発行するためには、営業収入が少なくても課税事業者になる必要があり、消費税納税の義務が発生する。また、課税事業者が消費税の仕入税額控除を受けるためにはインボイスが必要となるため、免税事業者は取引から除外される可能性がある。個人事業主、フリーランス、一人親方、個人タクシー運転手、小規模農家、シルバー人材センターの仕事をする高齢者など、広範な事業者に影響が及ぶことになる。
一方で現在、課税事業者であっても、シルバー人材センターのように支払先の多くが免税事業者であり、その支払先がインボイスを登録しない場合、仕入税額控除ができず、多額の税負担が発生する恐れがある。また、多くの中小企業団体や税理士団体も「凍結」「延期」「見直し」の表明や、現状のままでの実施に懸念の声をあげている。
中小零細事業者にとって消費税は現在、価格に転嫁することが困難な状況にある。この状況下では、インボイス制度導入を契機とした廃業の増加や成長意欲の低下を招く等、地域経済の衰退に拍車をかける恐れがある。加えて制度の周知が不十分であるため、このまま実施されれば、多くの混乱を招くことも予想される。
多くの事業者は新型コロナ危機の下、事業継続に懸命に取り組んでおり、インボイス制度への登録、経理変更準備に取りかかるのは難しい状況にある。
よって、杉並区議会は、国に対し、中小零細事業者の事業存続と再生、ひいては日本経済振興のために、適格請求書等保存方式(インボイス制度)の実施を延期することを求めるものである。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。
令和5年6月19日
杉並区議会議長 井口 かづ子
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