永福体育館におけるビーチコート設置と維持費の経緯と検証について

 

ページ番号1085955  更新日 令和6年1月31日 印刷 

令和5年3月1日に永福体育館におけるビーチコート設置と維持費の経緯と検証について報告を行ったところですが、杉並区議会における質疑等を踏まえ、報告の内容を更新したので以下のとおり報告します。なお、「更新前の報告の全文」と、「更新後の報告の全文(修正した部分を赤字で明示したもの)」は、以下の添付ファイルをご覧ください。

老朽化に伴い学校統廃合した旧永福南小学校跡地に移転する永福体育館にビーチコート場を設置したことについて、岸本区長の選挙公約(さとこビジョン)に基づき、その設置の経緯や維持費の妥当性を区において検証しましたので、その結果を以下のとおりお知らせします。

ビーチコートの概要

設置目的

  • ビーチコートは、多様なビーチスポーツはもとより、砂の上での多世代にわたる健康・体力づくり事業を展開するなど、新たなスポーツ分野の振興を図るために設置します。
  • ビーチコートを国際基準(IF基準)(注)で整備することで、東京2020オリンピックに当たって外国チームの練習会場として活用することや、オリンピック終了後もトップ選手の試合や練習会場としてトップアスリートのプレーを目の当たりにすることを期待します。

 (注)IF基準…各競技の国際競技連盟が定める競技場の規格などの施設要件のこと。

面積

958.8平方メートル 屋外ビーチコート 2面(ビーチバレーボール競技の国際規格に対応)

永福体育館の概要

リニューアル(平成30年9月)

旧永福体育館は永福3丁目51番17号において運営していましたが、敷地が狭く体育館(アリーナ)のみを有する施設であったため、老朽化に伴い旧永福南小学校跡地に移転・改修して新たにオープンしました。リニューアル後の永福体育館では、多様なスポーツニーズに応えられるよう、体育館(アリーナ)に加え、小体育室やトレーニングルーム、ビーチコートを設けるなど機能の拡充を図っています。

配置図の画像
配置図
ビーチコートの利用風景
利用風景

ビーチコートの砂はオーストラリア産ホワイトサンド(国際基準)を使用しています。

指定管理者による運営

平成30年9月の開設時から、杉並スポーツ・カルチャー共同事業体(株式会社東京アスレティッククラブ、東京フットボールクラブ株式会社、日本管財株式会社)が指定管理者として永福体育館全体の施設運営を行っています。

リニューアル前後の利用者数

永福体育館全体(ビーチコート以外も含む。)とビーチコートの平成29年度から令和4年度までの利用者数は、以下のとおりです。

年度 永福体育館全体の利用者数(人) ビーチコートの利用者数(人)(内数)
29年度 40,390

30年度
(9月に移転・改修)

60,100 6,198
元年度 80,348 11,847
2年度 70,061 15,859
3年度 90,141 18,637
4年度 92,570 17,251

モニタリング評価結果

区では委託業務(指定管理施設を含む)に対し、業務の履行確認及びサービスの質の評価を行い、各業務を継続的に管理・監督することにより、より良い区民サービスの提供に向け、業務改善や運営体制の強化等につなげていくためにモニタリングを実施していますが、永福体育館における平成30年度から令和4年度までの指定管理者の評価結果(注1・注2)は、以下のとおりです。

年度

評価結果

30年度

105点(優良)

元年度

109点(優良)

2年度

108点(優良)

3年度

109点(優良)

4年度

103点(優良)

(注1)「評価結果」は、基礎評価(0~100点)、加点(0~25点)、減点(0~-25点)の合計により「優良(95点以上)」、「良好(80~94点)」、「普通(60~79点)」、「やや不良(50~59点)」、「不良(49点以下)」とします。
(注2)平成30年度から令和3年度までは「永福体育館」のみの評価結果ですが、令和4年度に指定管理者を再公募する際グループの見直しを行ったため、令和4年度は「永福体育館・松ノ木運動場・下高井戸運動場」の3施設1グループの評価結果となっています。

ビーチコートに係るこれまでの経緯

平成25年9月

国際オリンピック委員会(IOC)総会で、2020年オリンピック・パラリンピック夏季大会の開催地を東京都に決定

平成26年3月

永福体育館の旧永福南小学校跡地への移転を決定
杉並区議会スポーツ振興議員連盟(区議会議員26名で構成)が区内に国際基準を満たしたオリンピック競技関連施設(ビーチバレーコート)の整備等の要望書を区へ提出

平成26年10月

旧永福南小学校跡地の整備方針として、屋外ビーチコートの整備を決定

平成28年4月 保育の待機児童解消のためすぎなみ保育緊急事態宣言を行い、区が保有する土地・建物について改めて保育施設を整備できないかの検討を開始

平成28年6月

杉並区議会スポーツ振興議員連盟(区議会議員29名で構成)が旧永福南小学校跡地への保育園併設に関しての要望書を区へ提出し、保育所とビーチコートの併設を提案
平成28年7月 待機児童解消という当時の区の最大の目的を果たすため、旧永福小学校跡地の整備方針の一部変更(定員60人程度の保育施設をビーチコート予定地の南側を敷地分割し整備)を決定(これにより、南側に整備することとしていた観客席等を削減したものの、面積を必要最低限に精査した上で国際基準を満たすビーチコートを整備した。)

平成30年6月

永福体育館ビーチコート竣工・国際基準を満たす旨の認定
平成30年9月 永福体育館開館(ビーチコート含む。)
平成31年4月 ビーチコートの南側に整備した民設民営の保育園開園(定員73人)
令和元年5月 イタリアオリンピック委員会と永福体育館を活用した事前キャンプ実施に伴う協定の締結
令和2年3月 新型コロナウイルス感染症の世界的流行により東京2020オリンピックの1年程度の延期が決定
令和3年3月 イタリアオリンピック委員会から、新型コロナウイルス感染症の状況を勘案し、事前キャンプ実施困難との連絡

住民説明会

平成26年11月 旧永福南小学校跡地に整備する区施設に関する住民説明会の開催(97人参加)
平成27年2月 旧永福南小学校跡地の活用に関する近隣住民説明会の開催(7人参加)
平成27年12月

特別養護老人ホーム・重度身体障害者支援施設整備及び永福体育館移転改修の実施設計説明会の開催(18人参加)

平成28年6月  旧永福南小学校校庭倉庫等解体工事説明会の開催(13人参加)
平成28年8月 旧永福南小学校跡地の整備方針変更及び設計変更に伴う説明会の開催(22人参加)
平成29年4月

永福体育館移転改修工事説明会の開催(16人参加)

設置に至る経緯・整備方針は以下のファイルをご覧ください。 

移転改修工事の概要

工期
平成29年3月18日から平成30年6月29日まで
総工事費
13億697万9,712円(税込み)(改修工事全体)
(注)総工事費には追加工事を含みます。なおビーチコートのみの工事費をお示しすることができません。
ビーチ用物品費
審判台、得点板等 一式 303万60円(税込み)

維持費の推移

指定管理者(又は区)が施設管理に要した各年度の維持費(注1)は以下のとおりです。(令和4年12月末現在)                                                                                                                          

年度

夜間照明設備点検

消耗品購入費

ビーチコート用砂購入費(注2)

備品購入費(区)

合計

30年度

141,600円

75,600円

実績なし

114,912円

332,112円

元年度

283,200円

33,792円

実績なし

408,848円

725,840円

2年度

283,200円

291,412円

実績なし

0円

574,612円

3年度

283,200円

122,870円

実績なし

319,000円

725,070円

4年度

283,200円

107,943円

363,000円(注3)

252,450円

1,006,593円

注1:人件費などの共通費や照明電気料、水撒き水道料は、施設全体の維持費であるため除きます。
注2:ビーチコート場の砂は、粒が細かい国際規格品。深さはビーチサッカー国際競技会規則を踏まえ40センチメートル程度としています。
注3:令和4年度のビーチコート用砂購入費363,000円で購入した砂の量は、7トン4.67立法メートルです。なお、平成30年9月のビーチコート開設時に購入した砂の量は、562トン374.8立方メートルです。

利用状況等

ビーチコートは、ビーチスポーツ団体やスポーツフェスティバル(スポーツの日)、教室等への参加など多様なスポーツ活動や健康づくりの場として、利用割合と利用延人数ともに年々増加しています。

利用状況(利用回数、利用割合)

年度

利用可能回数 a

利用回数 b

利用割合 c(b÷a)

30年度

1,153回

686回

59.5%

元年度

1,935.5回

1,444回

74.6%

2年度

1,715回

1,392.5回

81.2%

3年度

1,946回

1,670.5回

85.8%

4年度

1,992回

1,652回

82.9%

注1:利用は1回2時間の予約制で、午前9時~午後9時までの6枠。「利用可能回数」とは年間の利用可能枠の合計をいい、半面での利用は1/2利用として利用回数を0.5回としました。
注2:30年度は9月からの開設、3月9日~31日(元年度)と4月8日~5月31日(2年度)の期間、新型コロナウイルス感染症対策のため休館しました。

ビーチコートの利用料金

ビーチコートの利用料金は、国内常設のビーチコートの料金との均衡等を勘案して設定しています。 

全面(2時間) 2,600円
半面(2時間) 1,300円

(注1)「全面」とはビーチコート2面での利用、「半面」とはビーチコート1面での利用をいいます。
(注2)区内体育施設のテニスコート1面(2時間)の利用料金は1,500円です(参考)。

種目別および利用形態別の利用延人数

ビーチスポーツ種目別(人)

年度

バレー

サッカー

テニス

ビーチフラッグ

 

フライングディスク

(フリスビー)

その他

合計(人)

30年度

1,272

2,752

513

140

0

1,521

6,198

元年度

3,326

3,934

979

148 

93

3,367

11,847

2年度

5,736

4,359

834

185

0

4,745

15.859

3年度

7,430

4,829

1,365

148

140

4,725

18,637

4年度

5,965

4,557

1,442

80

113

5,094

17,251

「その他」の主な利用は、フレスコボール、ビーチハンドボール、クロスミントン、砂上体操
 

利用形態別(人)

年度

貸切利用(有料)

一般使用(有料)

行政使用

指定管理者

による教室等

合計(人)

30年度

4,578

200

140

1,280

6,198

元年度

8,669

364

886

1,928

11,847

2年度

13,463

584

13

1,799

15,859

3年度

14,916

949

225

2,547

18.637

4年度

13,592

623

209

2,827

17,251

指定管理者の教室等(令和3年度)

指定管理者の教室等(自主事業としての実施含む)の令和3年度実績は、以下のとおりです。

  • ビーチスポーツ 延1,287人
    ビーチバレー教室(ビーチバレー) 通年教室 全75回実施 参加者 延735人
    はだしでサッカー(ビーチサッカー)通年教室 全69回実施 参加者 延314人
    ビーチサッカー (ビーチサッカー)通年教室 全17回実施 参加者 延100人
    第3回東京都ジュニアビーチバレーボール大会(国体予選)  7月11日実施 参加者 延  94人
    第3回ビーチテニス杉並大会 11月28日実施 参加者 延  44人
  • 健康・体力づくり 延830人
    はだしでのんびり健康運動 通年教室 全35回実施 参加者 延  68人
    ビーチコートで「はだし活」 通年教室 全38回実施 参加者 延118人
    親子・孫と一緒にはだしあそび 通年教室 全12回実施 参加者 延  26人
    はだしでからだ遊び(体操) 通年教室 全27回実施 参加者 延307人
    はだしで体力向上プログラム(1)(2) 通年教室 全53回実施 参加者 延251人
    親子健康教室 11月23日実施  参加者 延  16人
    バルシューレ&かけっこ教室(1) 8月29日実施  参加者 延  44人
  • イベント 延172人
    ミニ納涼祭 8月29日実施 参加者 延132人
    スラックラインバーク、フラダンス発表会等 4年3月21日実施 参加者 延  40人
  • スポーツフェスティバル(スポーツの日イベント) 延258人
    ビーチバレーボール  10月10日実施 参加者 43人
    ビーチテニス 10月10日実施 参加者 29人
    ビーチサッカー 10月10日実施 参加者 45人
    こどもタイム「ビーチであそぼう♪」(1)(2) 10月10日実施   参加者 141人
(参考)主なビーチスポーツ種目の利用回数の推移
年度 ビーチバレーボール ビーチサッカー ビーチテニス 合計
30年度 101回 181回 84回 366回
元年度 275.5回 313.5回 159.5回 748.5回
2年度 378回 324回 122回 824回
3年度 467回 316回 171回 954回

利用者からの声(令和4年12月末現在)

以下のとおり肯定的な意見が寄せられている一方で、改善要望があり、それぞれ適切に対応しています。

  • 当初はビーチコート設置に反対していたが、利用している学生さんたちを見て良かったと思う。
  • 種目に限らず多目的で利用できるビーチコートはなかなか無いので、とても良い。
  • 砂がサラサラしていて気持ちが良い。転んでも痛くないので安心して子どもを遊ばせられる。

【改善に向けた意見と施設の対応】

  • 更衣室に砂が持ち込まれないようビーチコート使用と屋内使用とを分けて欲しい(利用者)
    施設の対応:施設内に入る前に、屋外のエアーブラシや洗い場で衣類等に付着した砂を落とすことを徹底した結果、現在は施設内への砂の持ち込みは殆どない状況となっている。
  • プレー中の音や声が気になる。声のボリュームを抑えて欲しい(近隣住民)
    施設の対応:大声で話す、歓声を上げるなどの行為の禁止や激しい音楽は音量を調整するなどの運用ルールを利用団体に周知した結果、現在は近隣住民等の理解が得られている。

施設へ寄せられた声(はがき)、利用者アンケートの主な内容は以下のファイルをご覧ください。 

チャレンジアスリート
国内のビーチスポーツのトップレベル選手「ビーチボールで遊んでみよう」の様子

ビーチボールで遊んでみようの様子1

ビーチボールで遊んでみようの様子2

その他

キャンプ誘致

  • 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会では多くの自治体が各国の事前キャンプ誘致に取り組んでおり、23区でも杉並区を含む13区が大会までに各国と事前キャンプ実施に係る協定を締結しました。
  • そのような中、永福体育館のビーチコートを国際基準を満たすビーチコートとして整備した上で東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に申請することで、組織委員会を通じて全ての国際オリンピック委員会、国際パラリンピック委員会に事前キャンプ候補地として情報提供され、事前キャンプ誘致実現の可能性が高まる利点がありました。
  • 国際基準を満たすビーチコートとして整備したことで、イタリアオリンピック委員会と事前キャンプ実施に伴う協定を締結し、東京2020オリンピックではイタリアのビーチバレーチームの事前練習が行われ、区民等と選手との国際交流や公開練習の見学会等を行う予定でした。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響等で実現しませんでした。

大会誘致

  • 平成27年からビーチバレーが国民体育大会の正式競技となったこともあり、令和元年から東京都ジュニアビーチバレーボール大会(国体東京都予選)の会場として活用されています。
  • ジュニアビーチバレーボール大会以外の公式大会の開催実績はありませんが、これは、保育需要の高まりを踏まえ、当初の整備方針を一部変更し、保育施設を整備するためにビーチコートの観覧席等を削減した影響もあると考えられます。しかし、国際基準を満たすためにきめ細かな砂を導入したことで、肌触りがよく、多くの子どもや高齢者、障害者の方に利用されています。
  • 今後も区民利用等との兼ね合いの中で公式大会の開催を検討し、イベント等で区民がビーチスポーツのトップ選手によるプレーを観ることができる機会の創出に努めていきます。

保育需要への対応

  • ビーチコート予定地の南側を敷地分割して認可保育園を整備したことで、令和5年度まで6年連続「保育待機児童ゼロ」の達成につながっています。

検証のまとめ

ビーチコートは、施設の維持に多額の経費を要しない一方で、砂の上を生かしたさまざまな体験プログラムを提供するなど、多様なスポーツ・運動活動や健康づくり、仲間との交流、イベントでの練習の発表の場として、多くの区民・団体等に有効に利用されており、利用割合や利用延人数は増加傾向で推移しています。
また、もう一つの目的であったビーチコートを国際基準で整備することにより、東京2020オリンピックに当たって外国チームの練習会場として活用し、区民等と選手との交流や公開練習の見学会等を行うことについては、イタリアチームの誘致に成功したものの、コロナ禍による延期、感染拡大に伴う大会の運営方法の変更を受けて、事前練習の実現に至りませんでした。しかし、毎年国体の予選に当たるジュニアビーチバレーボール大会が開催されています。
今後も多様なスポーツ活動や健康づくりの場として有効に活用していくとともに、多くの区民・団体等に利用されている中で、必要に応じて公式大会の開催等についても検討していきます。

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このページに関するお問い合わせ

区民生活部スポーツ振興課施設管理係
〒166-8570 東京都杉並区阿佐谷南1丁目15番1号
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