平成23年 意見書・決議等
「こころの健康を守り推進する基本法(仮称)」の法制化を求める意見書
議決年月日:平成23年12月9日
提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、内閣府特命担当大臣(共生社会政策)、厚生労働大臣
「こころの健康を守り推進する基本法(仮称)」の法制化を求める意見書
いま、国民の「こころの健康」は深刻な状況にある。平成10年から毎年3万人以上の人々が、自殺によって命をなくしている。精神科を受診する人は、平成17年には300万人以上、つまり40人に1人以上となっている。精神疾患の症状による社会生活の困難さは外からは見えにくく、本人の生きづらさが理解され難いところである。
杉並区では精神障害者保健福祉手帳の所持者が、平成16年度末1229名、平成19年度末1524名、平成22年度末2123名と増加傾向にある。
WHO(世界保健機構)によると、病気や怪我、自殺や事故、犯罪などがどれだけ社会に影響を与えるかを測る「障害調整生命年(DALY指標)」においては、日本や先進各国ではがんや循環器疾病に比べて、精神疾患が政策的重要度の最も高い疾患であることが明らかにされている。
平成23年7月6日、厚生労働省は「4大疾病」の「がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病」に精神疾患を加えて、「5大疾病」とする方針を決めた。がん152万人、糖尿病237万人に対して精神疾患は323万人に上り、重点対策が不可欠と判断された。
平成18年4月から3障害(身体・知的・精神)を一体に支援する法律がつくられたが、精神疾患へのサービスの基盤体制は遅れている。医療において精神科以外の入院病棟は、患者16人に医師は1人以上である中、精神科病棟では患者48人に医師1人以上など、一般の医療水準よりも低い状態となっており、慢性的な人手不足の状況である。
英国では1997年から医療改革・自殺予防に取り組み、自殺者が10年間で15.2%減少という成果を上げている。統合失調症の治療では、薬物・心理療法のみの治療に比較して、家族支援も合わせて実施すると、再発率が大きく低減できることが立証され、患者を支える家族に対しても支援が重要だと認識されはじめている。
長期の精神障害を持つ人の家族が抱える困難は、一般の人々の3倍であるとも言われ、家族への精神疾患・治療についての情報提供や実際的、具体的な支援が求められる。
厚生労働省の「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」を受けて設立された、医療福祉の専門家、学識経験者、当事者及び介護者(家族)による「こころの健康政策構想会議」では、このようなわが国の状況を背景として、平成22年5月末に厚生労働大臣へ「こころの健康政策構想会議提言書」を提出した。その中で、精神医療改革・精神保健改革・家族支援を軸として、国民全てを対象とした、こころの健康についての総合的、長期的な政策を保障する「こころの健康を守り推進する基本法(仮称)」の制定を強く求めている。
よって、杉並区議会は、国会及び政府に対し、「こころの健康を守り推進する基本法(仮称)」の制定を強く求めるものである。
平成23年12月9日
杉並区議会議長 藤本 なおや
地方消費者行政に対する国の実効的支援を求める意見書
議決年月日:平成23年12月9日
提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)、総務大臣、財務大臣
地方消費者行政に対する国の実効的支援を求める意見書
現在、国で地方消費者行政の充実策が検討されているが、他方で地方分権が進む中、地方消費者行政に対する国の役割・責任が不明確となることが懸念される。
もとより地方自治体が独自の工夫・努力によって消費者行政を充実させることは当然であるが、地方自治体が担っている消費者行政の業務の中には、相談情報を国に集約するパイオ・ネットシステムヘの入力作業等、国全体の利益のために行っているものも少なからず存在する。
また、住民が安心して相談できる消費生活相談窓口を実現するために、消費生活相談員の専門性の向上とともに、地位の安定、待遇の改善に向けた制度の整備も重要である。
よって、杉並区議会は国会及び政府に対し、地方消費者行政の支援について、次の措置を講じるよう要望する。
一 国は、地方自治体の消費者行政の充実に確実につながるよう、継続的かつ実効的な財政支援を行うこと。
二 消費者が安心して相談できる消費生活相談窓口の充実・強化を図るため、相談を担う専門家である消費生活相談員が専門性に見合った待遇のもとで安定して勤務できる制度の整備を行うこと。
平成23年12月9日
杉並区議会議長 藤本なおや
福島県及びその他地域のこどもに対する放射線被曝量「年間1ミリシーベルト」基準の遵守を求める意見書
議決年月日:平成23年6月28日
提出先:内閣総理大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣
福島県及びその他地域のこどもに対する放射線被曝量「年間1ミリシーベルト」基準の遵守を求める意見書
福島第一原子力発電所の事故が、放射能による深刻な環境汚染をもたらしています。
文部科学省は、平成23年4月19日に福島県教育委員会や関係機関に対し、学校等の校舎・校庭等の利用判断における放射線量の目安として、年間20ミリシーベルトという基準を通知しました。その後、福島県の保護者等の働き掛けにより、文部科学省は一定値以上の放射線量が検出された場合の土壌の除去費用を国が負担することを決め「年間1ミリシーベルト以下を目指す」としましたが「年間1ミリシーベルトから20ミリシーベルト」という暫定基準は当面維持することとし、基準そのものを見直したわけではありません。
放射線の年間被曝限度は、放射線に関する法令で、1年間につき1ミリシーベルトと明記し、ICRP(国際放射線防護委員会)も同基準を勧告しています。現在暫定的に適用されている年間20ミリシーベルトという数値に基づいて算出された屋外で3.8マイクロシーベルト毎時は、労働基準法で18歳未満の作業を禁止している「放射線管理区域」における基準(3箇月間で1.3ミリシーベルト(時間換算すると、0.6マイクロシーベルト毎時))の約6倍に相当します。
こどもは大人に比べて放射線の影響をより強く受けることが認知されており、こどもが長時間過ごす学校等に適用する基準値として、放射線管理区域で働く大人よりもはるかに高い基準値を設定することは到底容認できません。
また、外部被曝ばかりでなく、年間20ミリシーベルト暫定基準ではほとんど考慮されていない内部被曝に関しても給食の提供等、十分に配慮し、こどもの被曝量を抑えようとする学校側の自主的な防護措置を妨げないようにすべきです。未来をつくるこどもたちの放射線被曝量を抑えるために最善を尽くすことが、私たち大人の重大な責務だと考えます。
よって、杉並区議会は政府に対し以下の2点を要望します。
一 福島県及びその他地域のこどもに対する放射線被曝量「年間1ミリシーベルト」基準の遵守を求めます。
二 前項の基準を超える地域のこどもに対する保護措置をとるように求めます。
平成23年6月28日
杉並区議会議長 藤本 なおや
アメリカ合衆国の新型核実験の強行に抗議し、全ての核実験の停止を求める決議
議決年月日:平成23年6月28日
提出先:アメリカ合衆国大統領 バラク・H・オバマ 閣下
アメリカ合衆国の新型核実験の強行に抗議し、全ての核実験の停止を求める決議
この度、貴国がニューメキシコ州サンディア国立研究所において昨年11月と今年3月の2回、未臨界核実験と同様の核爆発を伴わない新型の核実験を実施したとの報道に接した。
杉並区議会は、当区が日本での原水爆禁止署名運動発祥の地であり、世界の恒久平和と核兵器の廃絶を願い、杉並区平和都市宣言を議決している立場から、これまであらゆる核実験に抗議してきた。
核兵器の存在しない平和な世界は、杉並区民のみならず、人類共通の願いであり、一日も早い実現が望まれている。
核兵器の廃絶に向けて先導的な役割を果たすべき貴国が、核兵器の製造・開発につながる恐れのある新型の核実験を強行したことは、世界の核軍縮努力に逆行するもので、多くの人々の平和への願いを踏みにじるものである。
杉並区議会は、貴国の核実験に強く抗議し、今後一切の核実験を停止することを、強く求めるものである。
以上、決議する。
平成23年6月28日
杉並区議会
議会改革の推進に関する決議
議決年月日:平成23年3月11日
議会改革の推進に関する決議
杉並区議会は、二元代表制の一翼たるにふさわしい議会を目指し、平成17年以降、6期にわたり議会改革に関する検討調査部会を設置し、議会改革に取り組んできた。
そうした中、これまでの議会改革を総括し、新生議会へ改革の灯を繋げていくため、今般、要綱設置の議会改革検討部会を新たに立ち上げ、新生議会への申送り事項をまとめたところである。
もとより、新生議会においての議会改革については、新生議会の構成員たる新議員で議論し、決定すべきことであるが、我々の強い思いの表れである、議会運営委員会に報告がなされた別紙「申送り事項」を十分に斟酌し、新生議会においても迅速な体制整備の下、活発な議論が展開され、議会改革が一層推進されることを強く希望する。
以上、決議する。
平成23年3月11日
杉並区議会
(別紙)
議会改革の推進に関する申送り事項
地方分権が進展しつつある中、地方議会の果たす役割は重要性を増しており、議会活動の充実・強化とともに、公開性や透明性の向上を図ることが一層求められている。
こうした中、杉並区議会は、これまで積み重ねてきた改革の成果を踏まえ、議員間の真摯な議論を通じて議会改革を一層推進していく必要がある。
議員定数、議員報酬、通年議会、二元代表制のあり方や(仮称)議決条例等、今後検討を要するさまざまな課題があるが、特に(仮称)議会基本条例については、改選後の新生議会において直ちに議論すべき課題とし、これらを検討する組織体制を含め、(仮称)議会基本条例が実のあるものとなるよう、活発な議論がなされることを強く希望する。
右、申送りする。
平成23年3月9日
議会改革検討部会
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