杉並小中学校受験事情 その2「保護者からみた受験事情」(平成29年12月1日)

 

ページ番号1038055  更新日 平成29年12月1日 印刷 

杉並小中学校受験事情 その2「保護者からみた受験事情」

その1「私立受験率と公立小中学校編」(下記リンク)では、オフィシャルな面から見た杉並の小中学校受験と公立小中学校事情についてお送りしましたが、今回は目線を変えて、保護者側から見た杉並小中学校受験事情をお伝えしたいと思います。

私立小中学校なんて「お金持ちかすごく頭の良い子が行くところ」と思っている人も多いのではないでしょうか。実は私もずっとそう思っていたのです。が、娘に「〇〇中(私立)に行きたい」と言われて調べてみたところ、私立小中学校の数の多さとその多様さ、そして偏差値の差にもビックリ。どうやら、杉並の親たちが子どもを私立小中学校へ通わせる理由はそれだけじゃないぞ、と。

そこで、杉並の小中学校受験事情にも詳しい「お産とおっぱい・おしゃべり会」代表の突元正子(つくもとまさこ)さんに、すぎラボメンバー晶姐(しょうねえ)とらくちゃんママ(以下「らく」)が保護者の立場から話を伺ってきました。

突元正子さん紹介

突元さん写真

「お産とおっぱい・おしゃべり会」代表(杉並子育て応援券事業者)。自身も杉並で子育てをしているワーキングマザー。
小中学校受験に関するお話会の他、卒乳・離乳食講座やスリング抱っこ、幼児教育の選び方など、大学教授や女医さん、助産師さんを講師に招いた多彩な子育て講座を企画、開催。

保護者が私立の小中学校を受験させようと思うキッカケは?

私立小学校の受験理由は?

突元「小学校受験の場合は、その私立校の教育内容が気に入ったからとか、地元公立校に対する不安が多いのではないでしょうか。マスコミや噂話などで、公立の学校の荒れている話などを聞いてしまうと、やはり不安に思う親御さんは多いと思います。」
晶姐「私の知り合いでも、上の子を地元公立小学校に入学させたところ、そのクラスがすごく荒れてしまって、下の子は私立小学校に入れようかと悩んでいる人がいましたね。」
突元「ただ実際には、ある小学校が恒常的に荒れているということは少なく、たまたま火種になる出来事が起きたクラスなり学年なりがあって、その結果、たまたま荒れてしまった、という場合が多いのではないでしょうか。」

晶姐「荒れるかどうかは運的要素も大きいですよね。私も子どもが公立小学校に通っていますが、例えば1年1組は荒れていても1年2組は平穏、みたいなパターンは結構多いように思います。私立に行っても同じような問題はもちろんあるのでしょうが、でも、公立の方が運的要素はより濃いように感じます。」
突元「私立小はそもそも受験で選抜されているので、ある程度その学校の方針に合ったお子さんを集めた訳ですから、荒れにくいというか、平穏に進めていきやすいということはあるかもしれません。また、私立は基本的に先生方の他校への転勤がなく、それぞれの学校の教育方針に従って安定した教育を行っている、という点でも荒れにくい面はあるかと思います。ただ、私立イコール荒れないしイジメがないというほど、単純でもないですけれど。」

私立中学校受験の理由は?

突元「一番の理由は、高校受験の準備の必要がなく、のびのびとした中学生生活を堪能させられるからではないでしょうか。私立中は中高一貫校が多いですから。一方、区立中に入ったならば、高校受験のための内申書が重要になってきます。もちろん、私たちが子どもだった頃にも内申書はありましたが、今はあの頃とは比較にならないほどシビアで負担の大きいものになっているのではないでしょうか。」
晶姐「知り合いで、子どもたちを敢えて公立中から某有名高(偏差値の高いところ)へ進学させた方がいますが、内申点のために部活も生徒会もやらせて、漢検と英検も一定レベルまで合格させてと、私には正直真似できないというか、すごいパワーだなと感じました。」
突元「そうですね。実は2年くらい前から内申点のウェイトが一段と大きくなったので、内申書のために塾に行く子が多い。日ごろの成績だけでなく、さまざまな面が内申点に反映するので気が抜けなくて、その肝心の内申点を上げるための「活動」のやり方を教えてくれるのも塾なんですね。内申点積み上げ活動の負担は、私たちが子どもの頃とは比較にならないほど大きくなっているのではないでしょうか。

ご存じのように、高校受験に備える時期、つまり中学2~3年生の頃は反抗期。迷走するし、沈み込んだりもする。でも、実は反抗期って、子どもの成長発達の段階としては、自分や社会を見つめ直す大切な時期。グっと深く沈み込んだ分だけ、将来のジャンプアップにつながることも。でも、内申書と高校受験が重石になっていたら反抗できないし、迷走する余裕もない。内申書のためにやらなきゃいけないことって、いっぱいあって、寝る時間も削られちゃうレベル。へとへとです。一方、中高一貫校では、反抗期真っ只中に結果を出す必要はないので、いろんな失敗をしながら、挽回したり助け合ったり、試行錯誤しているうちに、反抗期が終わるから、あとは落ち着いて大学受験に邁進する、というイメージです。先生たちも、6年後の姿を経験的に知っているから焦らずに見守ってくれる訳です。」

内申点のほかにはどんな理由が?

めざせ合格 受験勉強中

突元「子ども本人が、なりたい職業や行きたい大学を見つけてきて、その目標のために中学受験したいと言いだす場合もあります。お友だち関係から受験したがる子も少なくありません。お父さんやお母さんご自身が、中学受験や大学受験の経験があるご家庭も杉並には多いので、お子さんの気持ち一つで受験を決めたというご家庭は、とても多いですね。

もうひとつ、杉並で特徴的なのは 「吹きこぼれ」問題じゃないでしょうか。「吹きこぼれ」というのは「落ちこぼれ」の反対みたいな意味なんですが、授業のスピードよりも自分の理解のスピードの方が速すぎて、時間が余っちゃう状態のお子さんです。杉並にはそんなお子さんが、クラスに何人もいると言われています。吹きこぼれたお子さんが、自分がイキイキと勉強できる環境として、私立・公立の中高一貫校を志望する場合も少なくないですね。」
 

公立小中学校を選ぶことのメリットは?

公立小学校を選ぶ理由は?

突元「では、まず小学生から。小学生にとっての幸せの条件の一つは、放課後に遊べる友達が近所にいるということ。学区外の小学校に通っていると、近所の友達と遊ぶっていうのは、かなり難しくなりますね。子どもたちのコミュニティって、小学校単位、クラス単位なんですよ。小学校が違うと、話も合わないし、サッカーや野球のルールも微妙に違ってたりして、遊ぶのも大変です。区立〇〇小の集団の中に、私立小の子が一人交じって遊ぶっていうのは、かなり難しいことだと思います。互いにストレスが大きすぎるでしょう。そうすると、遊ぶ相手がいなくなっちゃうんですよ。」
晶姐「中学生なら電車に乗ってお友達の家まで遊びに行けても、小学生だとそれもなかなか難しいですしね。」
突元「せめて放課後の学童だけでも地元に、と入会される方もたまにいらっしゃいますが、基本的に、ひとつの学童に通っている子は皆同じ区立小の子たちなので、溶け込めずに辞めてしまうことがあるみたいですね。また、人間関係は子ども同士だけではありません。大人との交流や、大人同士のネットワークもあります。地元の小学校に通っているだけで、地域のさまざまな方々と繋がり、「この地域で生きる子ども」として馴染んでいけるのは、メリットだと思います。」

公立中学校を選ぶ理由は?

突元「地元の公立中の場合は、通学時間も学費も少なくて済むのが助かりますよね。小学校時代のお友だちとも別れなくて済みますし。
もっとも、敢えて別れたいというお子さんもいらっしゃって、小学校時代の人間関係をリセットするために中学受験を選ぶというお子さんもいらっしゃるようです。それから学費。たしかに公立中は授業料はあまりかからないのですが、今は高校受験のために塾に通うお子さんが多いので、結果的に学費をメリットにあげて良いのかは迷うところです。また、私たちが中学生だった頃は、高校入試の受験指導は担任の先生がしてくれましたが、今は諸般の理由で、地元の公立校での受験指導そのものが難しくなっているという話も聞いたことがあります。」

お子さんをよく見て、お子さんに合った進路を選ぶ

らく「自分の高校受験なので20年ほど前の話ですが、塾の先生が勧めてくれる高校のレベルと通っていた区立中学校の先生が勧める高校のレベルがかなり違っていて、中学校の先生はかなり安全パイを見ているな、とは当時も感じましたね。」
突元「その傾向が、さらに著しくなっているという話はよく聞きます。でも進路指導は、中学校生活の中のごくごく一部分。広い目で考えると、杉並の区立小も区立中も、実はすごく恵まれていることがわかると思います。私はさまざまな地域のお母さんたちと情報交換していますが、杉並の小学校、中学校の良さを実感することって、ほんとにたくさんあるんですよ。お子さんの性格やタイプ、目指す将来、今の幸せ、たとえば人間関係なども含めて多面的に考えて、いつ受験するかは、選んでいくのが良いんだろうなって思います。小学校受験に向く子、中学受験に向く子・向かない子っていうのも、タイプとして分かれますしね。お子さんをよく見て、お子さんに合った進路を選んでほしいなと思います。」
晶姐「私立中の場合、登校時間も長くなりがちですから、それでくじけてしまう子の話もよく耳にしますし、繁華街を通って通学すると誘惑も多いですから、流されやすい子の場合ちょっと不安かも。地元でじっくり、の方が合っている子もいますから、それぞれ何がベストかをよく考えて答えを出したいものですね。」
 

私立小中学校のお金事情について

飛んでくお金

晶姐「先ほどお金の話が出ましたが、やはり私立校に行かせられるかどうかの最大のハードルはお金の問題だと思うんですよね。私立も小中学校に関してはほとんど補助金がありませんし、正直なところ、勉強ができてもお金がないと私立校には通わせられないですよね。」

突元「確かに私立小中学校は授業料が別途かかります。学校によっても金額はさまざまですが、授業料他学納金等、年間100万円程度を見ておけば良いのではないか、とも言われています。ただ、区立中の状況としては、さっきもお話ししましたが、高校受験のために多くの生徒が塾に通っていることを考えると、中学校に関しては学費のトータルは、そんなに大きく違わないかもしれません。私立中高一貫一環校の場合、学校の授業や宿題に真面目に取り組んでいるだけで、自宅通学圏の有名大学に合格できちゃう学校もありますから。」
 

受験対策について

私立小中学校の受験対策はいつから始める?

突元「対策として意識しているかどうかはともかくとして、赤ちゃんの頃から、どんな風に親子が関わったかが、大きく影響してしまうなあと感じます。小学校受験も中学受験も、お勉強だけでなく、人間として、どんな風に生きてきたかを問われている気がします。どんな絵本を読んでもらったか、テレビやゲームとの関わり、日常生活の中での親子の会話、叱り方、褒め方、こういった日常的なことの積み重ねで作り上げられた自己肯定感が、学力に直結していることを、今、専門家の方々が、どんどん明らかにしています。小学校受験でも中学受験でも、親子の絆が何より大切だと感じます。ただ、こういったことは、受験とは関係なく、お子さんの将来の「幸せ」に直結していると言っても良いのではないでしょうか。私たちは、大学の保育科の教授をお招きして、お話を聞く会を定期的に開いているのですが、何をすべきか、逆に、やっちゃダメなことは何か、など、いつも本当に勉強になります。

ちなみに、教室や進学塾にいつから通うべきかということでしたら、年中さん、小3の2月、などと一般的に言われていますよね。でも、お子さんによって最適な時期は違いますから、時期の見極め方などは、経験豊富で信頼できる先輩ママなどに相談なさると良いのではないでしょうか。」

小学校受験の場合は、受験対策をしてくれるような幼稚園に入れるべき?

突元「小学校受験に関しては、中学受験以上に、専門の教室に通わないとまず受かりませんから、幼稚園での受験対策は気にする必要はないでしょう。むしろ、受験を意識するならば、他にもっと重視すべきポイントがあります。ただ、お受験幼稚園と言われる園には、受験の予定のあるご家庭が集まるので、保護者同士で話が合うとか受験情報をシェアし合えるとかメリットも。もっとも、互いにライバルという場合もあるので、情報を貰うためのコツは身に付けないと。この辺りは、受験テクニックの一つともいえるでしょう。」

小学校受験は親の受験、中学校受験は親子の受験、高校受験は本人の受験

突元「受験に対する親の関わり方から考えると、こんな風に整理できます。
小学校受験は親の受験、中学校受験は親子の受験、高校受験は本人の受験、と。
小学校受験は、ただひたすら親の努力あるのみです。親がどこまで子どもをリードしていけるか、楽しく受験まで盛り上げて行けるか、その一言です。嫌がる子どもを無理やり塾に通わせても、良い結果は得られません。小学校受験も中学受験も、向き不向きがあります。お子さんがどういうタイプかを観察して、お子さんのために最善の方法を選んでほしいですね。」
晶姐「そもそも、お子さん自身に入学後ひとりで電車通学できるくらいの度胸がないと、小学校受験は難しそうですよね。」
突元「そうですね。そういった部分も考えて、小学校受験するかしないかは決めてほしいなと思います。子ども本人が幸せでなければ、全く意味がありませんから。」

学校選びも大事

突元「学校選びについては、私立でも公立でも、実際に学校を見学し、研究し尽くすことが大事だと思います。なんとなく入学した学校が、たまたま気に入ったなら良いのですが、合わなかった場合は悲劇です。学校見学のポイントもいろいろありますが、ひとつだけ覚えておいていただきたいことがあります。お子さんの「気に入った」は、必ずしも入学後の学校生活をイメージしたものではない、ということ。子ども任せにせず、親としてもしっかりリサーチしてくださいね。」
 

そのほか、私立小中学校受験で気を付けた方がいいことは?

突元「親の言葉がけが違うだけで、成績は簡単に上がったり下がったりしますし、合格・不合格にも影響してきます。まさかの不合格となった場合でも、子どもがしっかり前を向けるような言葉がけをしてあげてくださいね。最後の砦はやはり、親子の絆と愛。家族以上に子どもの心を支えられる人はいませんから。」
晶姐「勉強の面での話ですが、中学受験に落ちて公立中に通うことになったお子さんのお母さんがその後、受験勉強のおかげで中学校の授業にスムーズに入れたから公立中学校に行くことになったけれども受験勉強しておいてよかった、と言っていました。精神面についても、勉強面についても、受験をしようがしまいが、やはり世の中は備えあれば憂いなしということなのかもしれませんね。」

入学式 立看前の女子児童

突元「確かに、中学受験で勉強したことで、中学入学後のカリキュラムが楽になっちゃう場合もありますね。でも、それはあくまでも副産物。子どもは「今」が楽しく快適でなければ何も学べません。もし小中受験をするのなら、「今」の幸せと「近い将来」に幸せが訪れるイメージとを大切にして、しっかりと合格を掴み取ってほしいです。うっかり親のエゴが出ちゃわないように、そこはしっかりと「俳優」になって。何のために小中受験をするのかというと、お子さんが毎日楽しく過ごせて、将来、自分の足でしっかりと立ち、生き抜いていけるように、と。それが親の責任だと思います。」
 

最後に

2回に渡ってお伝えした杉並小中学校受験シリーズ。それぞれの家庭や立場によって事情は違えど、子どもの幸せを願っている点では皆さん同じ。そんな東京杉並の受験事情について、少しでも皆さんの参考になれば幸いです。

ライター「すぎラボ」晶姐

 

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