これからの杉並の保育に向けて
待機児童問題を見つめ続ける曾山恵理子さんに話を伺いました。
全国的に広がった保育園を増やす運動の端緒となり、その後も待機児童問題への提言や子育て支援事業を展開してきた曾山恵理子さんに、区の緊急対策の成果と課題についてお話を伺いました。
曾山恵理子(そやまえりこ)
25年4月入園時に、「認可保育所が足りない」と区に待機児童問題の解消を迫り、社会に窮状を知らしめた。その後東京都の利用者支援専門員(子育て支援員・保育の情報提供)として、複雑な入園制度を保護者にわかりやすく伝えている。子連れオフィス「こどもコワーキングbabyco(ベビコ)」代表。
思っていた以上に動きがあった
認可保育所に入園できる割合がとても高くなりました。認可保育所の増設中心の待機児童対策でなければ実現できなかったことです。25年当時には指数が40点あっても入れなかった状況が改善されてきていて、認可に入れなくても、認証や認可外に入りやすくなっている状況も生まれています。
待機児童は「誰」なのか
「地域偏在」とよくいわれます。28年度中の整備だけを切り取ると偏在しているように見えますが、長期的に見れば区内各沿線・地域に整備されてきている。それでも保護者にとっては住んでいる地域に保育所がなければ厳しい現状であることに変わりはないのです。今回の29名の待機児童について、区では、その方がどんな方たちなのか、どの地域にいるのかをしっかりと把握してくれているとのこと。顔の見える状態の中で、住んでいるところから近い保育園があれば、年度途中からでも入園できるような支援をしてもらえるといいですね。
「保活」は相変わらず厳しい
「保活」は本当は「自分の子どもに合った保育環境を選ぶ」ことだと思いますが、「入れればどこでもいい」となりがちなのが現状です。「保活」の厳しさは相変わらずです。「認可保育所に入れるかどうか分からない」のはこれまでと変わらないわけですから。必ず認可に入れる、という確証が得られるならば「保活」はなくなるわけですし、保護者はとても助かります。
安心して育児休業を取れる環境を
早く預けないと保育園に入りにくくなるという不安から、育児休業を取らずに無理をして0歳から職場復帰する、というようなことがなくなればいいですね。それには区が保育需要を丁寧に把握し、それに応える必要があると思っています。
新しい保育園にも保育の質を
新しくできた認可保育所に入園したものの、そこの保育に不安を感じている保護者の方もいます。保育の質を確保するために、区立の認可保育所にいたベテランの保育士などが現在行っている巡回相談・指導だけではなく、一緒に保育に入って実地研修を行ったり、座学研修の提供をしたりなどの形で関わっていってほしいと思います。
「こどもコワーキングbabyco(ベビコ)」では、子どもが保育士さんと遊んでいる姿を見守りながら仕事ができるオフィススペースを用意しているほか、保育相談・子育て相談にも応じています。
このページに関するお問い合わせ
待機児童解消対策本部(子ども家庭部保育課)
〒166-8570 東京都杉並区阿佐谷南1丁目15番1号
電話:03-3312-2111(代表)