地域医療の崩壊を食い止めたい!(令和2年4月17日)

 

ページ番号1059627  更新日 令和5年5月8日 印刷 

区長写真
杉並区長 田中 良

国は、去る4月7日、新型コロナウイルス感染症にかかる緊急事態宣言を発令しました。

これまでイベントの中止や学校休業など、感染拡大防止のためさまざまな取り組みを行ってまいりましたが、3月19日を境に区民の感染者数は急激に増加し、4月7日現在、66人にまで拡大しております(グラフ参照。ホームページでは、「区内発生情報」のページで毎日の感染者数をお知らせしています)。

杉並区内の新型コロナウイルス感染者数(累計)4月7日現在。3月1日から18日までは1人だったのに対し、3月19日を境に急増し4月7日現在66人。

こうした状況の中で、区内の基幹病院でも新型コロナウイルス感染者を受け入れる病床を増設する必要に迫られています。ところが、それをやるとなると病院内で他の患者と動線を分けたり、医療従事者を一般病床の担当から外すなど、日常の病院運営にもさまざまな負荷を負わせることになるのです。

更には通常の二次救急の受け皿が縮小を余儀なくされるなど、病院経営に及ぼす影響も少なくありません。地域のため新型コロナウイルスとの闘いに献身的に挑めば挑むほど病院が経営難になり、マンパワーに重い負担がのしかかれば最悪の場合、病院の崩壊を招きかねません。

また、地域医療の最前線を担う「かかりつけ医」(開業医)は、いつ自分が感染してもおかしくない危険な状況におかれています。実際に、発熱・せき・味覚・嗅覚障害などの「かぜ」症状の患者を診察した中で、多数の感染者が見つかっています。つまりそれは、医師だけではなく、そこで働くスタッフや他の患者にも同様に院内感染の危険があったということであり、このまま現状を放置することで各地域で院内感染が発生したら、あっという間に地域医療は崩壊に陥ります。

私は、緊急事態宣言以前からこのような危機感を抱き、杉並区医師会および区内の基幹病院と協議を重ねてまいりました。その結果、第1に、病院の崩壊を食い止めるために必要な支援を早急に行うことといたしました。本来これは一義的には国や都が担うべき領域です。しかし、病院の崩壊がものすごいスピードで起こりつつある現実と、起こった時の悲惨な状況を想像すると、漫然とこの危機を見過ごすわけにはいきません。

第2に、各基幹病院に「(仮称)発熱外来センター」を設置します。新型コロナウイルスに感染の疑いがある患者を診察するためには、他の患者との動線・空間の分離や患者ごとの防護服の着脱が必要ですが、小規模・少人数で運営している多くの開業医においては、現在のところ対応は困難です。そこで基幹病院に「(仮称)発熱外来センター」を設置して、これまで各病院で蓄積されたノウハウを生かしながら、医師会の開業医がローテーションで診察を行う体制を作ろうということです(図参照)。これが機能していけば地域の診療所を院内感染から守ることができ、開業医が各々の地域で患者の診療に専念できるとともに、各病院の診療体制の強化にも資することになります。この「(仮称)発熱外来センター」は、既に河北総合病院、荻窪病院、佼成病院内に設置されています。

以上、申し上げましたように、私は新型コロナウイルスとの闘いに勝ち、平穏で希望に満ちた杉並区を取り戻すため、何としても「医療崩壊」を食い止めたいと考えています。そのために必要な予算を、コロナ禍により厳しい経営を強いられている中小零細企業の特別融資相談の充実に要する予算などと合わせて、4月20日に開催する区議会臨時会に補正予算案として提案します。

また、院内感染が発生した場合、保育園に子どもを預けて勤務する医療従事者が濃厚接触者でないと明確に判定されたにもかかわらず、その子どもの登園が拒否されるケースがあるとの訴えを受け、あらゆる医療従事者が万が一、居住地の保育園で登園を拒否された場合には、区内の保育園の空き枠で受け入れることにいたします。

最後に、「医療崩壊」を招かないための最大の方策は、感染者の数を抑え込むことです。そのためには、皆さん一人一人が極力外出を控え、人との接触を減らすことが何よりも重要です。そして、そのことが自らの命を守ることはもとより、他の多くの大切な命を守ることにもなるのです。是非、そのような自覚を持って行動していただきますよう、心からお願い申し上げます。今だかつて経験したことのないこの国難を、区民一丸となって乗り越えて行こうではありませんか。

基幹病院に(仮称)発熱外来センターを設置し、患者を受け入れます。患者受け入れまでのイメージ図

補正予算案についての区長記者会見資料は、以下のページからご覧ください。

 

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